IELTSのスピーキング対策をパート別に解説!スコアアップのコツも
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世界中の政府機関や教育機関が認定する英語資格試験のIELTS(International English Language Testing System)では、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能をスコア型で評価します。
4つの技能の中でも、日本人が難易度の高さを感じやすいのはスピーキングです。スピーキングテストでは、発音・アクセントを含む4つの基準でスコアが評価されるため、スコアアップに向けてしっかりと対策をしておく必要があります。
そこで今回は、IELTSのスピーキングテストの概要から主な評価基準、スコアアップに向けたパート別のテスト対策方法、さらにテスト時の注意点まで詳しく説明します。IELTSで目標スコアに向けて対策を取りたい方は、ぜひ参考にしてください。
1. IELTSのスピーキングテストとは?
そもそもIELTS(アイエルツ)とは、「International English Language Testing System」の頭文字をとった略称であり、下記の4技能を測る英語試験です。
- リスニングスキル(聞く力)
- リーディングスキル(読む力)
- ライティングスキル(書く力)
- スピーキングスキル(話す力)
30年にわたって続くIELTSは国際的な認知度を誇っており、英語圏への大学進学・留学・移住・就労に向けた英語能力の判定試験として広く認められています。
IELTSのスピーキングテストは、英語の流暢さ・語彙力・文法・発音からなる4つの基準で評価・測定する試験です。まずはどのような形式で行われるか、どのようなものが必要となるのかを事前におさえておきましょう。
1-1.試験概要
IELTSのスピーキングテストは、個室内で試験官と1対1で行う対面形式と、高画質なビデオコールシステムを通して試験官と1対1で行うオンライン形式の2つがあります。
基本的には、専門資格を有する試験官と静かな個室内で直接対話する対面形式がメインです。しかし、一部のIELTSテストセンターではビデオ通話によるスピーキングテスト「ビデオコール・スピーキングテスト」も選択できます。
なお、対面形式とオンライン形式とで、試験内容や時間配分・採点基準は変わりません。
1-2. 問題形式
IELTSのスピーキングテストの内容は、パート1~パート3の3つで構成されています。各パートの概要は、下記の通りです。
パート1 |
【インタビュー】 日常生活・仕事・興味など、身近なテーマに関する質疑応答が行われます。 |
---|---|
パート2 |
【スピーチ】 試験官からお題として特定のテーマが記載されたタスクカードを渡されます。受験者はタスクカードに記載されたそれぞれの質問への回答として2分間スピーチを行います。 |
パート3 |
【ディスカッション】 試験官はパート2のテーマに関連した質問をします。受験者はそれに対し、一般的な見解や意見を述べます。 |
パート1~パート3の所要時間はいずれも3~5分程度であり、合計で約11~14分となります。
1-3. 持ち物
IELTSのスピーキングテストでは、パート1のインタビューに入る前に簡単な挨拶を行います。このとき、身分証明書として試験申し込み時に申告したパスポートの原本を提示しなければなりません。
万が一パスポートを忘れた場合はいかなる事情があっても受験できなくなるため、忘れないように注意しましょう。
2. IELTSのスピーキングテストにおける評価基準
IELTSで実施される各種テストでは、1.0~9.0までの9段階で評価されます。この数字を「バンドスコア」と言い、0.5刻みで示されるのが特徴です。スコアを少しでもアップさせるためにも、評価基準を正しく把握しておきましょう。
ここからは、スピーキングテストにおける評価基準とスコア別の評価指標を詳しく説明します。
2-1. 流暢さと一貫性
スピーキングテストではまず、流暢さと一貫性(Fluency and Coherence)がチェックされます。テーマにあったフレーズを幅広く柔軟に使えることや、対話スピード、自己修正の数が評価基準となります。
下記は、スコア7・スコア6・スコア4それぞれの流暢さと一貫性における評価指標です。
スコア 評価指標 7
- 目立った努力を行わずもしくは一貫性を失わずに詳細に話すことができる
- 言葉が理由で時折言いよどむことがあり、繰り返しや言い直しがある
- 幅広い連結詞や談話標識(文と文との論理的関係を示すことば)を柔軟に使用できる
6
- 時折繰り返し、言い直し、ためらいが見られ、そのため一貫性を失うことがあるものの、すすんで詳細に話す
- 幅広い連結詞や談話標識を使用できるが、不適切な使用もある
4
- 顕著な間隔なしには受け答えができず、話す速度が遅く、繰り返しや言い直しが多々ある
- 基本的な文章をつなげることはできるが、簡単な連結詞を多用し、一貫性が維持できない
引用:IELTS「スピーキング評価基準」/引用日2023/10/18
2-2. 語彙力
スピーキングテストにおいては、英単語・熟語を柔軟に使用できるかが問われる語彙力(Lexical resource)も評価基準に組み込まれています。
適切な単語・熟語を用い、必要に応じて言い換えができれば評価につながります。一方で、同単語の繰り返しや不適切な英語表現の使用は評価のダウンにつながるでしょう。
下記は、スコア7・スコア6・スコア4それぞれの語彙力における評価指標です。
スコア 評価指標 7
- 様々なテーマを論じる際に柔軟に語彙を使用できる
- 一般的でない熟語も使用でき、表現や単語同士の組み合わせにも配慮できるが、不適切な選択をする場合もある
- 必要に応じ効果的に言い換えを行える
6
- テーマについて詳細に論じることができる幅広い語彙力を持っており、不適切な場合でも意味を明確にすることができる
- 概ね正しく言い換えができる
4
- 身近なテーマについては話すことができるが、そうでないテーマは基本的な意味のみ伝えることができ、言葉の選択にも間違いが多い
- 言い換えはめったにしない
引用:IELTS「スピーキング評価基準」/引用日2023/10/18
2-3. 正確さ・文法の知識
幅広く正しい文法を柔軟に使用できるかが問われる正確さ・文法の知識(Grammatical range and accuracy)も、スピーキングテストの評価基準となります。
単純に正しい文法を使うだけでなく、さまざまな構文を含めた複雑な文法をミスなく使えることのほうが重要です。
下記は、スコア7・スコア6・スコア4それぞれの正確さ・文法の知識における評価指標です。
スコア 評価指標 7
- ある程度の柔軟性を持って幅広い複雑な構文を使用できる
- 間違いの全くない文章を話せることも多いが、文法エラーは依然として存在する
6
- 柔軟性に欠けるが、簡単な構文と複雑な構文の両方を使用できる
- 複雑な構文では間違いも多いが、理解に支障の出るようなことはめったにない
4
- 基本的な構文を作成でき、単純な文章には間違いがないが、複文構成はめったにない
- 間違いも多く、誤解につながることもある
引用:IELTS「スピーキング評価基準」/引用日2023/10/18
2-4.発音
発音(Pronunciation)において、IELTSでは多少のなまりはスコアに影響しません。ただし、試験官に意味が伝わる英語発音で話しているかが重視されます。
下記は、スコア7・スコア6・スコア4それぞれの発音における評価指標です。
スコア 評価指標 7
- バンド6の全てのプラスの特徴と、バンド8のプラスの特徴を部分的に備えている
6
- 幅広い発音の特性を使用できるが、コントロールは不安定
- 特性を効果的に使用できる場合もあるが、一定していない
- 概ね理解しやすいが、個々の単語の発音の間違いや不明瞭な音が時おり混じる
4
- 発音の特性の使用は限定的
- 特性をコントロールしようとするが、よく失敗する
- 発音の間違いが多く、聞き取りが困難な場合もある
引用:IELTS「スピーキング評価基準」/引用日2023/10/18
IELTS公式サイトでは、スコアごとのスピーキングスキル動画が公開されています。各スコアがどの程度のレベルかを詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
3.IELTSのスピーキングテスト当日の流れ
時間の余裕は心の余裕にもつながります。試験の流れを具体的に把握しておけば、当日も焦ることなく自分の実力が発揮できるでしょう。
ここからは、スピーキングテスト当日の流れを詳しく紹介します。
3-1. 試験会場に到着する
試験会場に到着後、飲料水・パスポートといった必要な持ち物以外はテストセンターに預け、受付前にトイレまで済ませておきます。
試験受付の際は、本人確認と持ち物確認が行われたのち、写真撮影・指紋登録も行います。試験会場に入室・着席できるのはこれらの手続きが一通り終わってからとなるため、当日はできる限り、指定された時間の約30分前には到着しておきましょう。
その後、試験室に掲示されている座席表を見て、机の上のラベルで自分の席か確認してから着席しましょう。
3-2. スピーキング以外のテストを受験する
試験開始時間を迎えたら、スピーキングテスト以外の3技能(リスニング・リーディング・ライティング)のテストに挑みます。4技能のスコアの平均がオーバーオール・スコアになるため、実力が発揮できるよう落ち着いて試験を受けましょう。
なお、受験科目の順番には「最後にスピーキングテストを受験するパターン」と「最初にスピーキングテストを受験するパターン」の2つがあります。後者の場合は試験開始後すぐにスピーキングからテストを受けることになります。
3-3.スピーキングテストを受ける
スピーキングテスト以外のテストが終了したら、いよいよスピーキングテストの受験です。スピーキングテストを受ける前には、IDのチェックが行われます。IDをチェックする際には簡単な挨拶も行われ、下記のような質問を試験官から投げかけられます。
英訳 | 和英 | |
---|---|---|
1. | Could you tell me your full name? | フルネームを教えてもらえますか? |
2. | What can I call you? | あなたをなんと呼べばいいですか? |
3. | Could you tell me where you come from? | 出身はどこですか? |
4. | Could I see your identification, please? | 身分証明書を見せてもらえますか? |
挨拶はスコアには関わらないものの、なるべくテキパキと話して試験官に良い印象を残すことが大切です。
4. 【パート1】IELTSのスピーキングテスト対策
IELTSスピーキングテストのパート1では、日常生活・仕事・趣味など、受験者自身の身近なテーマに関する質疑応答がインタビュー形式で実施されます。質問内容は簡単かつ短いため、3つのパートの中では最も難易度が低いです。
しかし、難易度が低いだけに質問に対する即答力と流暢さが重視されています。パート1でつまずくと試験官に与える印象が悪くなり、パート2・パート3への採点に影響を及ぼすおそれがあるため注意しましょう。
ここからは、パート1におけるIELTSスピーキング対策法について詳しく説明します。
4-1. 頻出する質問に対する回答をおさえる
IELTSスピーキングテストのパート1は、いわば試験官に自分を知ってもらうための段階です。基本的には試験官からの質問に答えるのみとなっていますが、スムーズな回答を目指すためにも「頻出する質問」をおさえておきましょう。
パート1で最も質問されやすいトピックには、居住や仕事、勉強などが挙げられます。具体例は、下記の通りです。
トピック | 例題 |
---|---|
居住 |
|
仕事 |
|
勉強 |
|
あらかじめ出題内容を踏まえて回答をまとめておくと、いざ質問されたときも言いよどむことなく流暢に話せるでしょう。回答が短すぎると「Why?(なぜそうなの)」「Why not?(なぜそうじゃないの)」といった深堀りをされやすいため、なるべく3文程度で具体的に伝えることがポイントです。
4-2.結論を先に答える
日本人は、何らかの質問に対して理由から述べる傾向にありますが、英語圏の国では結論を先に述べることが好まれます。特にパート1では簡単な質問をされるため、「結論を先に述べ、理由や背景は後付けする」順序を徹底しましょう。
例えば、「どんな仕事がしたいですか?」という質問に対して、「私は幼少期からおばあちゃんの介護を手伝っていたこともあり、高齢者とコミュニケーションをとることが好きです。そのため、将来は介護職に就きたいと考えています」と答えるのは「理由」が先に来ているため良い回答とは言えません。
結論を先に述べる文章にするためには、「私は介護に関する仕事がしたいです」と述べたのち、「幼少期からおばあちゃんの介護を手伝っていたことがきっかけで、高齢者とのコミュニケーションが大好きになりました」と後で背景情報を付け足すことがポイントです。
4-3. 使える表現を増やす
IELTSスピーキングテストのパート1で投げかけられる質問内容は、比較的易しいものが多いです。だからこそ、回答文がワンパターンとならないよう、表現の引き出しを増やしておくことが大切です。
パート1で活用できる表現の例としては、下記が挙げられます。
- The first thing I’d like to mention is ~:まず言っておきたいことは
- I’d like to begin with ~:〜についてから話したいと思います
- I love (名詞) because 〜:私は (名詞) が大好きです、なぜなら
- Back when I was 〜:私が〜だったとき
- ~ is to my taste:〜は自分の好みです
- I’m really into ~:~に没頭しています
これらの表現方法は英会話における基本で、特に自分自身について説明するときには頻繁に使えるため、覚えておいて損はありません。
5. 【パート2】IELTSのスピーキングテスト対策
IELTSスピーキングテストのパート2では、試験官から渡されたタスクカードに記載のある特定テーマに沿ってスピーチを行います。
スピーチの規定時間は2分間で、開始前には1分間の準備時間があります。準備時間中は、スピーチで話す内容のメモをとることもできます。
パート2は人前でのプレゼンを苦手としがちな日本人にとって難易度の高いパートです。目標スコアに近づくには、頻出トピックをおさえた上で練習を積み重ねることが大切になります。
ここからは、スピーキングテストのパート2における試験対策法について詳しく説明します。
5-1. 頻出トピックに対しての回答をある程度決めておく
スピーキングテストのパート2で指定されるテーマは、「人物(友人、家族)」「場所(故郷、お気に入りの場所)」「もの(本、衣類)」など、受験者自身に関する身近なトピックが基本です。
一度試験官から指定されたテーマは、変更できません。したがって、頻出トピックをあらかじめ網羅し、ある程度の回答内容をおさえることが大事です。トピックをさらに発展させるスキルを身につければ、回答に詰まったり言いよどんだりすることもなくなるでしょう。
5-2. 時間を計ってプレゼンし時間の感覚を身につける
スピーキングテストのパート2では、2分間または2分以上プレゼンし続ける必要があります。規定時間は1分以上となっているものの、高得点を狙うのであれば2分いっぱいにプレゼンを続けるのが望ましいでしょう。
たとえプレゼン時間が2分を超えても、質問すべてに回答できていればスコアが減点されることはありません。ある程度キリの良いところで試験官から「ここまで」「もういいですよ」と止めてくれます。なるべく時間通りに収めるためにも、時間を計ってプレゼンの練習を行い、分数感覚を身につけておきましょう。
5-3. メモをとる練習をする
スピーチの開始前には、「指定されたトピックについて話す内容」を考える時間が1分間設けられます。この準備時間内には試験官から渡された用紙にメモをとることが可能です。
タスクカードの質問に関する具体的な話題や時期、場所といったヒントを箇条書きなどで用意しておくとスピーチをする際に回答の漏れがなくなります。1分間で多くの情報をメモに残せると、話題に詰まる可能性は低くなるでしょう。
限られた時間で効率良く情報を残すためにも、メモをとる練習をしておくことがポイントです。実際に頻出トピックから設問を選び、1分間で思いついたものを書き込んでみましょう。何度も繰り返すうちに、短時間で必要な情報をまとめる能力・スムーズにメモをとる能力が培われていきます。
6. 【パート3】IELTSのスピーキングテスト対策
IELTSスピーキングテストのパート3では、「パート2の指定テーマに関連した質問」に対してディスカッションを行います。所要時間は4~5分程度であり、質問数は合計で4~8問程度となっています。
踏み込んだ質問をされたり一般論を投げかけられたりするため、単純に回答するだけでなく、物事を多角的な視点から見て2つの異なる意見を挙げることがポイントです。最後の段階となりますが、気を抜かず臨む必要があります。
ここからは、スピーキングテストのパート3における試験対策法について詳しく説明します。
6-1. さまざまな表現を使用する
同じ単語・フレーズを流用することは、スピーキングテストのパート3におけるよくある失敗です。限られた表現ばかりを使用していると「言葉の引き出しがない」とみなされ評価を下げられる可能性もあるため、できる限り「パラフレーズ」を使用しましょう。
パラフレーズとは、いわゆる言い換え表現です。意味は同じでも異なる表現を用いることによって、同単語の連呼によるしつこさがなくなり、豊富かつ多様な語彙力・文法力を示せます。1つの単語・文章において常に「ほかの言い方・表現がないか」を意識し練習を続けると、表現力や文章構成力が身についていくでしょう。
6-2. 友人や家族と議論の練習をする
パート3のディスカッションは、パート1・パート2と違って文章の展開能力や説得力も重視されるため、必要以上に緊張感を覚える方も多くいるでしょう。緊張状態にあると本領を発揮できず、練習の成果を出せなくなる可能性があります。
できる限りリラックスしてパート3に臨むためには、練習として実際に友人や家族と議論をすることもおすすめです。本番さながらの環境で議論を練習することで当日の緊張感も和らぐでしょう。
なお、練習時には単純に英会話での議論を進めるだけでなく、自身の意見に「主張」や「主張を裏付ける理由・背景」、「結論」というポイントが盛り込まれているかを第三者にチェックしてもらいましょう。
6-3. 考えるとき・聞き返すとき用のフレーズを覚えておく
パート3のディスカッションでは、ふいに試験官から難しい質問を投げかけられる場合もあります。質問内容を聞き取れなかったり、質問の意図が明確に理解できなかったりした場合に備えて、「質問を聞き返すフレーズ」や「回答を考える間をとるためのフレーズ」を覚えておくと安心です。
質問を聞き返すフレーズ |
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|
回答を考える間をとるためのフレーズ |
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|
7. IELTSのスピーキングテストでスコアアップするコツ
IELTSのスピーキングテストは「流暢さと一貫性」「語彙力」「文法知識と正確さ」「発音」の4つの評価基準で評価されます。スコアアップするには、目標となるスコアの評価基準を満たせるように対策を取ることが大切です。
ここからは、IELTSのスピーキングテストでスコアアップするためのコツを4つ紹介します。
7-1. 複雑な文法構造を使う
スピーキングテストのスコアアップを目指すなら、パート問わず幅広い文法構造を用いて豊かな表現をするのがおすすめです。
単文と複文をそれぞれ含めた複雑な文法構造の使用によって、IELTSの評価基準の1つである文法知識の正確さをアピールすることにつながります。
複雑な文法構造を組み立てるためには、関係詞や接続詞・仮定法などを復習してさまざまな構文で話せるよう練習しましょう。
7-2. 質問の答えに対する理由を伝える
英語圏の国では結論ファーストが好まれるため結論に焦点をあてがちですが、自身の回答に対する理由や背景を直後に伝えることも忘れてはなりません。
回答に対する理由や背景は単なる一般論だけではなく、+αとして自らの意見を盛り込むことで、さらなるスコアアップが期待できます。
7-3. 積極的に話し続ける
スピーキングテストでは、スピーチ内容や質問への回答が事実にもとづいているかを問わず、極端に言うと話す内容すべてが作り話でも何ら問題はありません。
スピーキングテストの主な評価対象は「英語力」であり、いかに自分の英語力をアピールできるかが重要です。
同じ回答や言い方を何度も繰り返す、質問に対して答えていないなどは評価を下げる要因となりますが、質問に答えた上で伝えたい情報が多いが故の「話しすぎ」は減点対象となりません。一方で、短すぎる回答は減点される可能性が高いため、むしろ話しすぎる方が良いでしょう。
7-4. 分からなければ素直に聞き返す
試験官からの質問の内容が聞き取れなかった、または意図が分からなかった場合は聞き直しても減点の対象にはなりません。むしろ、内容や意図を明確に理解しないままズレた回答をする方が減点となるため、素直に聞き直した方が得策です。
しかし、2回目の聞き直しはスコアが下がるおそれが高いため、極力避けましょう。二度の聞き直しを避けるためにも、頻出トピック・質問をおさえておくことが大切です。
8. IELTSのスピーキングテストでのおすすめの話し方
IELTSのスピーキングテストは英語力を測定するもので、会話中の様子は評価対象となりません。しかし、笑顔かつ大きい声で話したり感情を込めて話したりすることは、試験官に良い印象を与え、試験官にとって聞き取りやすい英語を話す際の助けになります。
ここからは、試験官に好印象を与える話し方を紹介します。
8-1. 笑顔かつ大きいで話す
他人とのコミュニケーションにおいて、表情は相手の感情を認識できる部分の1つです。特に、笑顔は相手にポジティブな印象を与えやすく、双方の緊張をほぐすことも期待できます。
笑顔に加えて口を大きく開けてはっきりと発声することも大事です。英語は日本語よりも正しいアクセントやイントネーションが求められるため、大きな声で話すと伝わりやすい発音になり声のトーンも明るくなるでしょう。
8-2. 感情を込めて話す
試験官との会話中は、感情を込めて話しましょう。緊張によって平坦な口調になると、内容が試験官に伝わりにくいだけでなく、無味乾燥になってしまいます。
IELTSのスピーキングテストでは、表現力も重要です。一文一文の区切りを明確にした上で、特定の単語を強調して伝えたりアクセントをつけたりなどで自身の感情を示し、相手が引き込まれるような話し方を目指しましょう。
8-3. 目を見て話す
相手の目を見て話すことは、英語圏では他人とのコミュニケーションにおける基本のマナーです。試験官に良い印象を残すためにも、必ずしっかりと試験官の目を見て話しましょう。
試験官は受験者の目線をよく見ています。下向きがちになったり目を全く合わせなかったりした場合、自信のなさや不安が読み取られてしまいます。スコアに直接響くことはなくても、良い印象を与えるとは言えません。会話の内容や試験官の反応を見ながら、ときに自然にほかの場所に視線を向けることは大丈夫です。
9. IELTSのスピーキングテストでの注意点
IELTSのスピーキングテストは、面接形式での英語力が試される試験です。一般的な試験問題のように正解・不正解はないものの、試験中にはおすすめできない・してはならないことがいくつか存在します。
最後に、IELTSのスピーキングテストにおける注意点を3つ紹介します。
9-1. 回答を丸暗記しないようにする
スピーキングテストの採点基準においては、流暢性が特に重視されています。流暢さをアピールするためにも、試験官からの質問に対する回答をある程度暗記しておくことは有効です。
しかし、事前に準備しておいた回答を丸暗記することはおすすめしません。丸暗記していた内容を口に出す姿は意外と試験官から見破られやすいほか、暗記した通りに話さなければという意識から質問に対しズレた回答を誘発しやすくなるためです。加えて、受験者の英語力を正確に測定できないことから、試験官からの評価が下がってしまう可能性もあります。
暗記するのは「おおまかな回答」「トピックごとの語彙・表現」程度に留めておきましょう。
9-2. 無理に難しい単語を使わないようにする
スピーキングテストにおいて、自身の語彙力をアピールすべく難しい単語を使用するケースも珍しくありません。しかし、無理に難しい単語を使用すると言い間違いが起こりやすいほか、正しく発音できず言いよどんでしまうおそれがあるため注意が必要です。
難しい単語を流暢かつ適切に使用した場合はもちろん評価対象となりますが、使い慣れていない単語を使い、ミスが起きてしまっては意味がありません。そのため、ある程度使い慣れた範囲での単語使用を心がけましょう。
9-3. 短すぎる回答は避ける
スピーキングテスト中に試験官から質問を受けた際は、結論を一言で伝えて終わりにするのではなく、できる限り具体的に返答することが大切です。
特に、パート1においては自分自身の身近なテーマに関する簡単な質問が出されます。「完璧な文法を使わなければ」という意識から短すぎる回答をする受験者も多くいますが、多くの試験官はボリュームのある回答を望んでいます。
また、短すぎる回答は試験官から「詳しく話せるほどの英語力が備わっていない」と判断される可能性もあります。したがって、質問に対する回答から理由・具体例を考えるか深堀りをし、3文程度で答えることを心がけましょう。
まとめ
IELTSのスピーキングテストは、英語の流暢さ・語彙力・文法・発音の4つの項目で評価される試験です。
スピーキングテストは比較的多くの日本人が苦手意識をもつ分野です。テストではスピーチ・ディスカッションも行うため、十分に試験対策をしておく必要があるでしょう。
スピーキングテストで求められるのは「ネイティブのような発音」ではありません。分かりやすく伝えられているか、幅広い文法構造を用いられるか、語彙力があるかなどが見られます。
「独学でしっかり学習できるか不安」「本番試験までに自信をつけておきたい」という方は、IELTSに精通した英語講師によるマンツーマンレッスンで指導してもらうのも良いでしょう。