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IELTSのライティングテスト・タスク1の書き方と役立つ表現を解説

IELTS対策について

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IELTSとは、140か国・計11,000以上の機関が認定する、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能が問われる英語試験です。IELTSのライティングテストにはタスク1とタスク2があり、それぞれ質問形式や評価基準が異なります。

出典:IELTS「ELTSの特徴とメリット」

出典:IELTS「ライティング(アカデミック)

どの国においてもライティングテストは苦手とされる傾向にあるため、目標スコアの達成にはしっかりとした対策が重要です。

当記事では、IELTSのライティングテスト・タスク1の概要と問題の種類や見方、また受験時に役立つ表現などを詳しく説明します。

1.IELTSのライティングのタスク1とは?

IELTSの試験には、「アカデミック・モジュール」と「ジェネラル・トレーニング・モジュール」の2種類があります。いずれもライティングテストはタスク1とタスク2に分けられますが、タスク1の問題が大きく異なることが特徴です。

ここでは、一般的に受験者の多いIELTSのアカデミック・モジュールにおけるライティングテストのタスク1について詳しく解説します。

1-1.ライティングの設問形式

IELTSアカデミック・モジュールにおけるライティングテスト・タスク1では、問題にグラフや表・チャートなどの視覚的な情報が記載されており、視覚的な情報を150字で要約・記述・説明する必要があります。

ライティングテストの試験時間は、タスク1・タスク2合わせて60分間です。ライティングテストは時間が足りなくなることが多いテストのため、時間配分には注意しましょう。求められる単語数及び配点の割合から、タスク1は20分、タスク2は40分の回答が目安です。

出典:IELTS「ライティング(アカデミック)」

1-2.ライティングの評価基準

IELTSアカデミック・モジュールのライティングテストは、採点の一貫性と質を保証するため、2〜4名の試験官が採点します。評価基準は、「課題の達成度」「一貫性とまとまり」「語彙力」「文法知識と正確さ」の4つです。目標スコアの達成を目指す場合は、4つの評価基準の平均が目標スコアを満たしている必要があります。

スコアは、1.0〜9.0の9段階で0.5刻みに評価する仕組みです。リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能の平均スコアを「オーバーオール・バンドスコア」と言い、留学や移住の際にはこのスコア(もしくはオーバーオール・バンドスコア)を英語力の証明として提出します。

出典:IELTS「バンドスコア・採点方法」

2.IELTSのライティング・タスク1の種類・見方

IELTSライティングテストにおけるタスク1では、情報が図表で視覚的に示されることが特徴です。掲載される視覚資料は1つまたは2つで、内容から読み取った情報を正確に説明する必要があります。

問題に出てくるグラフや図表にはいくつか種類があるため、それぞれどのように見るのか知らなければ情報を読み取れません。ここからは、IELTSのライティングテスト・タスク1で出てくるグラフ・図表の種類と見方を解説します。

2-1.棒グラフ(Bar graph)

棒グラフ(Bar graph)は、IELTSライティングテストのタスク1において比較的出題確率が高いと言われる問題形式です。

棒グラフで出題される問題は主に、示された複数のカテゴリー(地域や種類)においての数値の高さと低さ、比較・対照に焦点をあてた説明が求められます。

棒グラフの問題で見るべきポイントは、下記の5つです。

  • グラフタイトル
  • 縦軸・横軸の項目とメモリ
  • グラフの最高値・最低値
  • 総数の最も大きい項目
  • 差異の大きい・小さい2本のグラフの項目

特に、グラフのタイトルは導入文に使える単語が入っている部分のため、単位なども見落とさないようにしましょう。

2-2.円グラフ(Pie chart)

円グラフ(Pie chart)も、棒グラフと同様に出題確率が比較的高い形式とされています。一目見るだけでも「何がどのくらいの割合を占めているか」を理解しやすいことが特徴です。

しかし、円グラフ1点で出題されることは少なく、基本的に「円グラフ×円グラフ」や「円グラフ×表」など、複数の円グラフかほかの図表とセットになった複数のグラフで出題されます。

円グラフでは、下記2つのポイントを確認しましょう。

  • グラフに何が示されているのか(項目・割合について)
  • セットとなったグラフとの関係性

まずは、円グラフにどのような項目があるのか、割合の大きい部分と小さい部分には何が占めているのかを読み取ります。また、円グラフの中で割合が近い項目を読み取っておきます。その後、2つのグラフの間で起こっている変化や共通点など、2つのグラフの関係性を分析しましょう。

2-3.折れ線グラフ(Line graph)

折れ線グラフ(Line graph)も、出題確率の高い問題です。主に時間経過とともに変化する事柄の説明が求められます。棒グラフよりも目盛りや軸が細かくなるため難易度がやや高いようにも思えますが、下記5つのポイントを見ることで内容を理解しやすくなります。

  • グラフタイトル
  • 縦軸・横軸の項目とメモリ
  • 線の始まりと終わりの数値
  • 目立つ線の最高値と最低値
  • 線の交わり

上昇や下降など目立っている線の動きや、全体の動きが結果的にどうなったかを説明します。線の始めには「start at〜」、終わりには「finish at〜」、また一番高いところには「reach the top〜」、低いところには「hit the bottom〜」など、言い回しを覚えておくと便利です。

2-4.表(Table)

表(Table)は、項目ごとの詳細の数字やパーセンテージ、また商品の売上などのテーマがよく使われます。円グラフやそのほかのグラフ・図表とともに掲載されることが多々あります。表の分析はグラフに比べ、視覚でデータの大小や割合が読み取りにくいため、最も大きい数字、2番目に大きい数字をチェックするときには漏れ・読み取りの誤りがないように注意が必要です。

表形式の問題が出てきたときは、「最も高い数値」と「最も低い数値」に着目しましょう。そのほかのグラフ・図表とともに出題されている場合は、各データの数値の変化や差異についても確認しておくことがポイントです。比較級を使って特徴をまとめ、数値は正確に記載し、最大値と最小値については必ず記載してください。

2-5.ダイアグラム(Diagram)

ダイアグラム(Diagram)は、主に何らかの製品の製造工程を説明する際に用いられ、いくつかのイラストと短い説明文が記載されています。棒グラフや円グラフ・折れ線グラフと比較して出題確率は低い傾向にある問題です。

ダイアグラムの出題パターンは「自然プロセス」と「人工プロセス」の2種類があり、自然プロセスは動物・植物・水など自然界で起きるプロセスです。人工プロセスはセメント・レンガ・ビール・コーヒーなど物が作られるプロセスです。

ダイアグラムでは、図に記載されている情報すべてをプロセス通り、順番に説明する必要があります。受動態(be動詞+動詞の過去分詞形)を使用しながら、過程を順序立てて説明していきましょう。

2-6.地図(Map)

地図(Map)の問題は、1〜3枚の地図で出題され、2枚が多い傾向にあります。地図は地域全体の場合もあれば、学校や空港のような狭い範囲の地図が使われるなど、問題によって規模はさまざまです。出題確率は比較的低いものの、近年では増加傾向にあります。

地図問題の種類は「過去から過去への変化」「過去から現在への変化」「現在から未来への変化」の3パターンに分けられます。過去から過去へ変化している場合は過去形、過去から現在へ変化している場合は過去形・現在形・現在完了形、現在から未来を表している場合は未来の時制を使用しましょう。過去完了形、未来進行形、未来完了形のような日本人にとってやや難しい時制を使う必要はなく、適切な時制を正しく使用できるようにすることがポイントです。

回答時は全体のおおまかな変化を簡潔に説明し、一番目立つ変化から残りの変化を順序よく述べていく流れになります。

3.IELTSのライティング・タスク1の書き方

IELTSライティングテストのタスク1では、IELTSの公式機関、idp IELTSが勧める下記の流れでご紹介します。

  1. 導入文
  2. 概要
  3. 詳細

出典:IELTS「IELTSアカデミックテストのライティングテスト問題形式」

まずは本題に入るための導入文を書いたあと、概要で問題文に記載されている説明文やグラフ・図表から読み取った情報を要約し、その後詳細や主な特徴を数字・データで示して強調する流れです。

ここからは、導入文・概要・詳細それぞれのステップについて詳しく説明します。

3-1.導入文

導入文は、受験者が書く回答文(英作文)の1文目にあたります。回答文が何をテーマとしているものなのかを採点者に伝えるほか、本題へと自然に入るための役割も果たします。

導入文を書く際におさえておくべきポイントは、下記の2点です。

●問題文をパラフレーズ(言い換え)する

基本的に導入文は自分で1から考えて文章を作成するのではなく、問題文に記載された説明文を言い換える、つまりパラフレーズで自分の言葉に置き変えて記載しましょう。

●なるべく簡潔にまとめる

本題に入る前の導入文は、なるべく1文程度で簡潔にまとめましょう。導入文では問題文に記載されたすべてのグラフ・図表について触れる必要があります。グラフ・図表が2つある場合は説明文もやや長くなるため、導入文が2文になっても問題はありません。また導入文には、年度や数値などの詳細は入れないようにしましょう。

3-2.概要

概要では、グラフ・図表から読み取った内容を正確に要約することが求められます。要約すべき内容には、主な特徴や全体的傾向、大きい変化が挙げられます。またグラフ・図表や設問種類によっても、要約すべき内容は異なります。

概要を書く際におさえるべきポイントは、下記の2点です。

●接続語を使用する

概要では前後の文節をつなぐ接続語を使用しながら、読み取った情報を正確に要約しましょう。ただし、グラフ・図表を見ればすぐに分かる数値を含めたり、主な特徴を短文で羅列したりするのは避けてください。

●グラフ・図表の内容から分かる「傾向」について言及する

グラフ・図表の内容から主な特徴を理解したうえで、自分なりに考え出した具体的な傾向(全体の変動・特に高い/低い点など)を説明しましょう。また、グラフ・図表に将来予測が示されている場合は、その傾向について言及することもポイントです。

3-3.詳細

詳細では、グラフ・図表の中で最も目立つ要素から説明することが求められます。詳細を書く際におさえるべきポイントは、下記の2点です。

●各軸(項目)の詳細を説明する

詳細に記載する「目立つ要素」は、すべての軸に対するものとなります。例えばグラフ・図表に5種類の商品が記載されていた場合は、5種類すべての商品について説明しましょう。特に、目立つ項目について1つでも説明を逃すと、不完全とみなされる可能性があります。

●詳細を裏付けるデータを説明する

詳細を説明するときは、グラフ・図表内のデータ(数値・割合など)を使用してデータの裏付けをしなければなりません。なお、このときデータを機械的に示すのではなく、前置詞句、接続語などを駆使しながらオリジナルで文章を作成する必要があります。例えば、ある項目の変化について説明したうえで、前置詞をつけて裏付けのデータ(数値)を入れる、最後に年度や月など時期を入れて1文を完成し、次の文作成に移る、といった流れです。

4.【図表別】IELTSのライティング・タスク1で役立つ表現と例文

IELTSライティングテストに向けてあらゆる表現やフレーズを覚えておくと、豊かな語彙力・文法の正確さを試験官にアピールできます。

また、使える表現やフレーズは、出題されるグラフ・図表の種類によっても異なります。ここからは、グラフ・図表ごとに使える便利なフレーズをいくつか紹介していきます。

4-1.グラフ(棒・円・折れ線)

棒グラフ・円グラフ・折れ線グラフなどのグラフ問題では、数値の変動や割合、差異、比較についての説明を求められることが多いです。そのため、下記のようなフレーズが役立ちます。

【使えるフレーズ例:折れ線グラフ】

表現 意味 例文
主語+increase(d)+どれくらい+時期 増加 The sales of ABC Public Limited Company increased twofold in the fiscal year 2019 compared to the previous year.
主語+decrease(d)+どれくらい+時期 減少 Celestial ServBright experienced a total sales decrease of $500,000 in 2015.
時期+主語+exceed(ed) +比較対象 ~を上回る In 2018, the sales of Celestial ServBright exceeded those of Terrestrial ServBright.
the amount of~ ~の量 The country has seen a decrease in the amount of newborns over the past decade.
主語+reach(ed) a peak of 数値 ピークに達する In this country's metropolitan areas, the population has reached a peak of 10 million residents.

4-2.表

表問題においてもグラフ問題と同様、数値の割合や比較に関する説明を求められることが多い傾向です。そのため、下記のようなフレーズが役立ちます。

表現 意味 例文
the most 1番 Over the five years from 2015, the sales revenue was the most for ABC Public Limited Company.
compared to +比較対象, ~と比べて Compared to other companies, Stellar Dynamics Incorporated has fewer products.
level(ed) off + 期間 / flat 横ばい The production quantity of Stellar Dynamics Incorporated's products has leveled off over the past five years.
主語 + be double +比較対象 2倍 The sales revenue of ABC Public Limited Company was double that of Velocity Visionaries.

4-3.ダイアグラム

ダイアグラムの問題では、自然のサイクルについての説明や特定製品の製造プロセスを求められます。自然プロセス・人工プロセスのいずれにおいても、主に「〜される」といった受動態を使用します。ダイアグラム問題に役立つ便利なフレーズは、下記の通りです。

表現 意味 例文
To begin with, / First, 最初に To begin with, we extract gold ore from the gold vein.
In the process of +プロセス名 ~の工程において In the process of refining, sulfur and iron are removed in the converter.
主語 + Be動詞 + transported to + 場所 〜に運ばれる The mined gold ore is sorted and transported to the storage yard.
As a result, 結果として As a result, gold bullion or ingots are produced.

4-4.地図

地図の問題では、「現在の地図についての説明」や、「過去と現在の地図の違い・現在と未来の地図の比較」の説明を求められます。そのため、下記のようなフレーズが役立つでしょう。

表現 意味 例文
between A and B AとBの間 The road between the government office and the commercial facilities underwent expansion and improvement with the increase in population.
across from ~の向かいに The vacant land across from the bus terminal was developed into an apartment complex in 2015.
A is converted into B AがBに変わる Beyond 2030, the wooded area in this region is anticipated to be converted into a residential neighborhood.

5.IELTSのライティング・タスク1を受験するときのポイント

IELTSのライティングテストは、4科目の中で最も平均点が低く、どの国でも苦手とされる科目です。実際に、アカデミックにおけるライティングテスト受験者の国籍別平均バンドスコアは、下記の通りとなっています。

■国籍別アカデミックにおける受験者全体および個人の平均バンドスコア

国籍 リスニング リーディング ライティング スピーキング オーバーオール
イタリア 7.2 7.5 6.2 6.7 6.9
フランス 7.0 7.1 6.2 6.6 6.8
韓国 6.5 6.4 5.9 5.9 6.2
ベトナム 6.4 6.4 6.0 5.8 6.2
タイ 6.3 6.1 5.7 5.8 6.1
中国 6.1 6.4 5.8 5.6 6.1
日本 6.0 6.1 5.7 5.5 5.9

出典:IELTS「2022 年の受験者のパフォーマンス」

以下では、IELTSのライティング・タスク1を受験する際のポイントをいくつか紹介します。目標スコアの達成に、ぜひお役立てください。

5-1.150語以上を記載する

ライティングテストのタスク1は150語以上を書く必要があります。150語を下回る場合は、うまく要約できていたとしても減点対象となるため注意が必要です。

しかし、150語以上書いているからといって、加点されるわけではありません。語数はあくまでもルールであり、たくさん書くのではなく課題全てに回答しているか、適切な文法であるか、幅広い語彙と表現が使用されているかなど、評価基準を満たすことが重要です。

5-2.先に何を書くか見定める

回答文を書く前には、具体的に何について書くのかをまずプランニングすることが大切です。タスク1では、語彙力や文法知識のほかに、差し出された情報の理解力や要約力も問われます。したがって、文章の構成を組み立てる作業は、回答文を書き始める前のマストな作業です。

構成を考えずに悩みながら書き進めると時間がかかり、時間内に回答しきれない可能性があります。また、全体の内容がブレてしまう、同じ単語・表現を繰り返し使ってしまうなどのデメリットもあります。文章の構成を事前に考えることで、論理的な文章を組み立てられ、段落・文章で使える表現を決めておくことができます。さらに、自分の実力を試験官にアピールし、目標スコアに近づけることも可能です。

5-3.時間配分に気をつける

ライティングテストの試験時間は60分であり、一般的にタスク1を20分、タスク2を40分で書かなければなりません。それぞれ、文章のプランニングと執筆・見直しにどれくらい時間をかけるかを細かく決め、その時間内で回答していけるよう練習を重ねましょう。

下記に、タスク1のおすすめの時間配分を紹介します。

▼タスク1

全体にかける時間 20分未満
内訳
  • 問題文の解釈:1分
  • ブレインストーミング(構成のプランニング):2~3分
  • 書き出す:13分以内
  • 確認・修正:2分~3分

最後の2分前後は、スペルミス、時制や主述一致などの文法ミスがないかを確認し、修正しましょう。この作業時間をとることで、簡単なミスからの減点を減らせます。

5-4.客観的な文章で記載する

タスク1では、情報を客観的に英語で説明できる力が求められます。そのため、「I think」「because」といった一人称や理由を述べる接続詞は不適切とされるため、使用するのは避けましょう。

タスク1では、受験者の個人的な意見は求められていません。主観的見方を表す主語「I」「We」「Our」は原則使用しないと考え、客観的な文章で記載しましょう。

まとめ

IELTSアカデミック・モジュールにおけるライティングテスト・タスク1は、グラフや図表から読み取った情報を、150字以上で要約・記述・説明する必要があります。どのようなグラフ・図表が出題されても実力が発揮できるよう、確認すべきポイントや使える表現を理解しておくことが大切です。

評価基準には、課題への達成度、一貫性のまとまりがあるか、また語彙力と文法知識の正確さがあります。時間配分に気をつけながら、データを正しく読み取り、自分の言葉で客観的に説明しましょう。

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