PTE AcademicとIELTSを比較!|どちらの試験が難しいのか
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PTE AcademicとIELTSは、どちらも世界中で広く認知されている英語能力試験であり、特に留学や海外移住を目指す方にとっては避けて通れない関門です。
しかし、「PTE AcademicとIELTS、一体どちらの試験が難しいのだろう?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、これら2つの試験の形式、採点方法、そしてそれぞれの試験がどのようなスキルを重視しているのかを詳しく比較することで、皆さんが自身の英語力や学習スタイルに合った試験を選択できるよう、具体的な情報を提供します。
それぞれの試験の特性を理解し、あなたにとってより有利な試験を見つけるための一助となれば幸いです。
1.はじめに:各試験の概要
はじめにIELTSとPTE Academicそれぞれの試験概要について紹介したいと思います。
1-1.IELTSとは
IELTS(International English Language Testing System)は、海外での学業、仕事、または移住を考えている方々の英語力を測る、世界的に認められた試験です。
この試験は、単に英語が「できる」だけでなく、実際に英語圏の環境で生活し、学び、働くために必要な「聞く」「読む」「書く」「話す」という4つの技能がどの程度備わっているかを詳細に評価します。
現在、世界140カ国以上、11,000を超える大学、企業、政府機関などがIELTSの結果を公式な英語能力証明として認めています。
これは、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどの主要な英語圏の国々はもちろんのこと、それ以外の国々でも広く活用されていることを意味します。
年間約300万人もの人々がIELTSを受験しており、その信頼性と公平性は国際的に高く評価されています。
日本では、日本英語検定協会がブリティッシュ・カウンシルと共同でIELTSを運営しており、近年では国内の大学入試においても英語外部検定試験の一つとして採用されるケースが増えています。
これにより、海外を目指す学生だけでなく、国内の進学を考えている学生にとっても、IELTSは有効な選択肢となっています。
試験はコンピューターまたはペーパーで受験でき、スピーキングは面接官との1対1形式(対面またはZoom)で行われます。
スコアは合否ではなく、各技能が1.0から9.0まで0.5刻みの「バンドスコア」で評価され、その平均値が「オーバーオールスコア」として示されます。
IELTSについてより詳しい内容を知りたい方は以下の記事も読んでみてください。
1-2.PTE Academicとは
PTE Academic(Pearson Test of English Academic)は、英語を母国語としない人々が、海外の大学・大学院への入学、永住権、ビザ申請などの際に英語力を証明するために受験する、完全にコンピューターベースの英語能力試験です。
イギリスの教育会社ピアソンが開発・運営しており、AI(人工知能)が100%採点を行うのが最大の特徴です。
【主な特徴】
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AI採点:スピーキングやライティングを含む全てのセクションがAIによって採点されるため、客観的かつ公平な評価が期待できます。
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迅速な結果:試験からほとんどの場合48時間以内に結果が判明するため、急ぎでスコアが必要な場合に非常に便利です。
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高い利便性:年間360日以上テストが実施されており、試験会場も東京と大阪に設置されています。申し込みも試験当日の数日前まで可能です。
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試験時間:約2時間半と、他の主要な英語試験に比べて短い拘束時間で済みます。
【試験内容】
試験は大きく「Speaking&Writing」「Reading」「Listening」の3つのパートで構成され、英語の4技能を総合的に測定します。スコアは10点から90点の範囲で評価されます。
【スコアが利用できる国・地域】
PTE Academicのスコアは、世界中の教育機関や政府機関で広く認められています。
特に以下の国々で進学、就労、移住などの目的で活用できます。
- オーストラリア
- ニュージーランド
- イギリス
- カナダ
- アメリカ
- アイルランド
- シンガポール
- 香港
- 日本
特にオーストラリアとニュージーランドでは、ほぼ全ての大学やビザ申請にPTE Academicのスコアが受け入れられています。
2.試験形式と出題傾向の比較
IELTSとPTE Academicは、ともに英語の4技能(リスニング、リーディング、ライティング、スピーキング)を評価する試験ですが、その形式や出題傾向には明確な違いがあります。これらの違いを理解することは、どちらの試験が自身の学習スタイルや得意分野に適しているかを見極める上で非常に重要です。
IELTSの試験形式と出題傾向
IELTSは、ペーパー版とコンピューター版(CDI)の2種類の受験方式があります。どちらを選んでも試験内容や採点基準は同じですが、試験の順番や利便性に違いがあります。
- Listening:
4つのパートから成り、音声は一度しか流れません。日常生活の会話から学術的な講義まで多様なシチュエーションが出題され、イギリス英語だけでなく様々なアクセントが含まれます。 -
Reading:
・アカデミック・モジュール:学術的な長文(約900語)が3つ出題され、書籍、雑誌、新聞からの抜粋が用いられます。複雑な情報処理能力が求められます。
・ジェネラル・トレーニング・モジュール:日常生活や仕事に関連する短文や長文が出題されます。 -
Writing:
・アカデミック・モジュール:タスク1でグラフや図の分析・説明(150語以上)、タスク2で意見や問題に対するエッセイ(250語以上)を作成します。論理的な構成力と学術的な表現力が求められます。
・ジェネラル・トレーニング・モジュール:タスク1で手紙(個人的、セミフォーマル、フォーマル)の作成、タスク2で一般的なテーマに関するエッセイを作成します。
IELTSは全体的に人間の試験官による評価が介入するため、解答の柔軟性やニュアンス、自然な表現力が重視される傾向にあります。
- Speaking:
唯一、試験官との1対1の対面形式で行われます。自己紹介、特定のテーマに関するスピーチ、そのテーマに関連したディスカッションの3つのパートで構成され、より自然な会話力や論理的思考力が問われます。
PTE Academicの試験形式と出題傾向
PTE Academicは、試験全体が完全にコンピューターベースで行われるのが最大の特徴です。AIが全てのセクションを採点するため、客観性とスピードが重視されます。
- 試験時間:約2時間半と、IELTSに比べて拘束時間が短い傾向にあります。
- AI採点:スピーキングやライティングもAIが採点するため、発音の明瞭さやタイピング速度、テンプレートに沿った回答などがスコアに影響を与えやすいとされています。
【セクション構成と出題傾向】
PTE Academicは3つの主要なパートで構成されていますが、一部の問題は複数の技能を同時に評価する統合型問題として出題されます。
- スピーキング&ライティング(54~67分)
・スピーキング:音読、文の復唱、図表の説明、講義内容の要約、短文解答など。発音の明瞭さや流暢さが特に重視され、IELTSのように自身の意見を深く述べる問題は少なめです。テンプレートを活用した対策が有効とされることがあります。
・ライティング:文章の要約、エッセイなど。タイピングの速さと正確さが求められます。 -
リーディング(29~30分)
・空所補充、多肢選択、段落の並べ替えなど、多様な形式が出題されます。IELTSと同様にアカデミックな語彙力や構文理解力が問われます。 - リスニング(30~43分)
・話された内容の要約、多肢選択、空所補充、ディクテーション(聞き取った内容を正確に書き起こす)など。リスニングにおいても要約やディクテーションのようにタイピングを伴う問題があり、リスニング力と同時にライティング力も評価されます。
PTE Academicは、明確なパターンやテンプレートが存在する問題が多く、AIが採点するため、指示された形式に沿って正確かつスピーディーに解答することが、高スコア獲得のカギとなります。また、一部のIELTS受験者にとっては、スピーキングでの対人緊張がない点がメリットとなることもあります。
IELTSとPTE Academicの試験形式と出題傾向を以下の表にまとめてみましたので、是非見てみてください。
IELTS Academic | PTE Academic | |
試験時間 | 約2時間45分 | 約2時間 |
リスニング | 4パート | 音声と連動したタスク多数 |
リーディング | 3つの長文読解 | 単語穴埋め、要約など |
ライティング | 2問(Task 1、Task 2) | 要約、エッセイなど |
スピーキング | 面接官と対面 | 録音(AI採点) |
3.各試験の難易度の観点から比較
IELTSの難易度
IELTSは、特にスピーキングとライティングにおいて、人間の試験官による採点が大きな特徴です。このため、単に文法的に正しいだけでなく、自然な表現力、論理的な構成、意見の展開、そしてコミュニケーション能力全般が評価されます。
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スピーキング:試験官との対面形式であるため、緊張しやすい人にとっては難易度が高いと感じる場合があります。しかし、表情や声のトーンといった非言語情報も伝えられるため、コミュニケーションに慣れている人には有利に働くこともあります。
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ライティング:アカデミック・モジュールでは図表の分析や論理的なエッセイが求められ、特にエッセイでは複雑な論理構成とアカデミックな語彙・文法力が問われます。採点基準が厳しく、スコアを伸ばしにくいと感じる受験者が多い傾向にあります。
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リスニング・リーディング:イギリス英語を含む多様なアクセントや、学術的・専門的な内容が出題されるため、幅広い英語力が必要です。
PTE Academicの難易度
PTE Academicは、全てのセクションがAIによって採点されることが最大の特徴です。このAI採点が、難易度の感じ方に大きな影響を与えます。
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AI採点の影響:AIは人間のようにニュアンスを汲み取ることはできませんが、発音の明瞭さ、流暢さ、テンプレートに沿った構成、文法やスペルの正確性などを厳密に評価します。これにより、採点が客観的である一方で、AIが評価しやすい解答パターンを習得する必要があります。
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試験形式の多様性:複数の技能を同時に測る統合型問題(例:リスニングの内容を要約してライティングする問題)が多く、慣れないうちは難しく感じるかもしれません。
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スピーキング:マイクに向かって話す形式のため、対人での緊張がない点はメリットですが、発音や流暢さが厳しく評価されます。テンプレートを活用することでスコアを伸ばしやすいという声もあります。
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ライティング:テンプレートが存在するため、型を覚えれば書きやすいと感じる人もいますが、タイピング速度やスペルの正確性が非常に重要になります。
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リスニング:音質がIELTSに比べて悪いと感じる人が多く、また専門的な内容が出題されることもあります。ディクテーションなど、聞き取りと書き取りの複合的なスキルが求められます。
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リーディング:IELTSよりも難易度が高いと感じる受験者もおり、特に空所補充や段落並べ替え問題は複雑です。
最終的にどちらの試験が「難しい」と感じるかは、個人の学習スタイル、タイピングスキル、AI採点への適応能力、そして人間の試験官との対話に対する慣れなどによって変わります。自身の得意・不得意を把握し、よりスコアを伸ばしやすい試験を選択することが重要です。
4.スコアと採点方法の比較
IELTSとPTE Academicは、どちらも受験者の英語能力を数値化して評価しますが、そのスコアの算出方法と採点プロセスには明確な違いがあります。
IELTSのスコアと採点方法
IELTSのスコアは、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4つの技能それぞれに「バンドスコア」が与えられ、さらにその4技能の平均値である「オーバーオール・バンドスコア」が算出されます。スコアは1.0から9.0までの0.5刻みで評価されます。
【スコア算出方法】
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リスニング&リーディング:各40問の正答数に基づいてバンドスコアが決定されます。正答数が多いほど高いバンドスコアになります。
・ライティング&スピーキング:資格を持った試験官によって、以下の詳細な採点基準に基づいて評価されます。 -
ライティング:
Task Achievement / Task Response(課題の達成度 / 課題への応答)
Coherence and Cohesion(一貫性とまとまり)
Lexical Resource(語彙の豊富さ)
Grammatical Range and Accuracy(文法知識と正確さ) -
スピーキング:
Fluency and Coherence(流暢さと一貫性)
Lexical Resource(語彙の豊富さ)
Grammatical Range and Accuracy(文法知識と正確さ)
Pronunciation(発音) -
採点方法の特徴:
IELTSの大きな特徴は、スピーキングとライティングが人間の試験官によって採点される点です。これにより、単なる文法や語彙の正確さだけでなく、表現のニュアンス、論理的な展開、自然なコミュニケーション能力といった、より複雑な言語能力が評価されます。人間が採点するため、解答に一定の柔軟性が許容される側面もあります。
PTE Academicのスコアと採点方法
PTE Academicのスコアは、10点から90点までの間で、1点刻みで表示されます。総合スコアに加え、各技能(リスニング、リーディング、ライティング、スピーキング)のスコアも算出されます。PTEの採点における最大の特徴は、全てのセクションがAI(人工知能)によって採点されることです。
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スコア算出方法:
PTEのスコアシステムは複雑で、単独技能を評価する問題だけでなく、複数の技能を同時に評価する「統合型問題」が多く含まれます。例えば、リスニングの問題がライティングのスコアにも影響を与えるといった「相互採点」の要素があります。スコアレポートには、主要なCommunicative Skills(リスニング、リーディング、スピーキング、ライティング)の他に、Enabling Skills(Grammar, Oral Fluency, Pronunciation, Spelling, Vocabulary, Written Discourse)のスコアも表示されます。これらのEnabling SkillsがCommunicative Skillsのスコアに大きく影響します。
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採点方法の特徴:
100%AI採点:人間が介入しないため、採点が非常に客観的であり、試験結果が最短48時間以内と非常に早く出ます。 -
部分点::
PTEでは、正答の一部であっても部分点が与えられる問題が多くあります。例えば、スピーキングの「Repeat Sentence」問題では、完璧に復唱できなくても、半分程度正解できればかなりの点数を得られます。 -
パターン認識:
AIが評価しやすいため、特定のテンプレートやパターンに沿った解答が有効とされることがあります。特にスピーキングでは、発音の明瞭さや流暢さが重視され、文法の正確さよりもこれらが優先される場合があります。タイピング速度やスペルの正確性も、ライティングやリスニングのディクテーション問題で重要になります。
PTE AcademicのAI採点は、受験者の緊張を和らげる一方で、人間が採点するIELTSとは異なる対策が求められます。特にスピーキングとライティングでは、AIが重視する要素(発音の明瞭さ、流暢さ、テンプレートの利用など)を理解し、それに合わせた学習がスコアアップの鍵となります。一方、IELTSは、より自然で柔軟な英語表現力と、論理的思考に基づいた複雑なコミュニケーション能力を測ることに長けています。
IELTS | PTE Academic | |
採点者 | リーディング&リスニング:システム採点 ライティング&スピーキング:人間の試験官 |
全てのセクション:AI(人工知能) |
スコア範囲 | 1.0~9.0(0.5刻み) | 10~90点(1点刻み) |
スコア種類 | 4技能ごとのバンドスコア、オーバーオール・バンドスコア | 4技能ごとのスコア、総合スコア、Enabling Skillsスコア |
結果通知 | ペーパー版:約13日後 コンピューター版:3~5営業日後 |
最短48時間以内 |
評価の性質 | 人間の感覚に近い、総合的な言語運用能力を評価。 ニュアンスや論理的思考力も重視。 |
AIが評価しやすい客観的な言語要素を評価。発音、流暢さ、パターン認識、正確性などが重視。 |
部分点 | リーディング&リスニングで正誤による点数。 ライティング&スピーキングは採点基準に基づく評価。 |
多くの問題で部分点が付与される。 |
相互採点 | 基本的に各技能が独立して評価される。 | 複数の技能が相互にスコアに影響し合う。 |
5.どちらの試験の方が「難しい」と感じやすいのか
IELTSとPTE Academicのどちらが「難しい」と感じやすいかは、受験者の英語力、学習スタイル、得意とする能力、そして試験への慣れによって大きく異なります。それぞれの試験が持つ特性から、なぜ難しさを感じるのかを解説します。
IELTSが「難しい」と感じやすい理由
IELTSは、特に人間の試験官による評価が介入するスピーキングとライティングにおいて、難しさを感じる受験者が多い傾向にあります。
- 採点の厳しさ(特にライティング・スピーキング)
人間が採点するため、単に文法や語彙が正しいだけでなく、論理的な一貫性、表現の自然さ、意見の深さ、コミュニケーション能力全般といった、より複雑な要素が評価されます。
パターンを覚えれば点数が取れるというよりも、本質的な英語力が問われるため、スコアが伸び悩むと感じる受験者が少なくありません。
特にライティングは、アカデミックな論理構成や適切な語彙・文法が求められ、スコアアップが困難と感じる原因となることが多いです。
- スピーキングの対面形式
試験官との1対1の対面形式は、緊張しやすい人にとっては大きなプレッシャーとなります。また、試験官との相性や質問の理解度によって、パフォーマンスが左右される可能性も否定できません。
- 試験の慣れ
問題形式自体はPTEほど複雑ではありませんが、それぞれの技能で求められる英語の運用能力の高さから、基礎的な文法や語彙力の不足が直接スコアに響きやすく、苦戦しやすくなります。
PTE Academicが「難しい」と感じやすい理由
PTE AcademicはAI採点という特性から、IELTSとは異なる種類の難しさを感じることがあります。
- AI採点への適応
全てのセクションがAIによって採点されるため、AIがどのような要素を重視して採点するのかを理解し、それに合わせた対策が必要です。
例えば、スピーキングでは発音の明瞭さや流暢さが極めて厳しく評価され、内容よりも音声の品質がスコアに直結しやすい傾向があります。
人間であれば伝わる表現でも、AIが認識しにくいと判断されると点数にならないケースも起こり得ます。
- 複雑な問題形式と時間配分
複数の技能を同時に測る統合型問題が多く、IELTSにはないユニークな形式が含まれます(例:リスニングの内容を要約してタイピングする)。
これらの問題形式に慣れるまで時間がかかり、戸惑うことがあります。
また、試験全体の時間がIELTSより短いにもかかわらず、多くの問題をこなす必要があるため、厳密なタイムマネジメント能力が求められます。
- 教材の少なさ
比較的歴史が浅く、特に日本ではIELTSに比べて教材や学習リソースが少ないため、独学での対策が難しいと感じる場合があります。
- 受験会場の限定性
日本国内では東京と大阪に限られているため、地方の受験者にとっては移動の負担も考慮する必要があります。
「どちらが難しい」は「何を得意とするか」による
最終的にどちらの試験が「難しい」と感じやすいかは、個人の強みと弱みによって異なります。
PTE Academicは、タイピング速度が速く、発音や流暢さに自信があり、AI採点の特徴を理解してパターン化された対策を講じることが得意な人にとっては、IELTSよりも目標スコアを達成しやすいと感じるかもしれません。
特にIELTSのライティングやスピーキングでスコアが伸び悩んでいる人にとっては、PTEが打開策となる可能性があります。
IELTSは、対人でのコミュニケーションに慣れており、自然な英語表現や論理的な思考力に自信がある人にとって有利です。
一方、アカデミックなライティングや面接での表現力に苦手意識がある場合は、PTEよりも難しく感じるかもしれません。
どちらの試験を選ぶにしても、自身の英語力と試験の特性を照らし合わせ、適切な対策を立てることが成功への鍵となります。
6.結局どちらの試験がいいの?試験選びのポイント
IELTSとPTE Academic、どちらの試験を選ぶべきかは、あなたの目的、英語の得意・不得意、学習スタイル、そして時間的な制約によって異なります。それぞれの試験の特性を踏まえた上で、自分に合った試験を選ぶためのポイントを解説します。
スコア提出先の要件を確認する
これが最も重要なポイントです。志望する大学、ビザ申請機関、雇用先などがどちらの試験のスコアを認めているか、また必要とされるミニマムスコアはどれくらいかを必ず事前に確認してください。
どちらか一方しか受け付けていない場合や、特定の試験を推奨している場合もあります。
特にオーストラリアやニュージーランドではPTEの認知度が高いですが、社会福祉や教育分野ではIELTSのみを受け入れているケースもあるため注意が必要です。
自分の英語の得意・不得意と試験形式を照らし合わせる
IELTSが向いている人
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対人コミュニケーションに抵抗がない、または得意な人:スピーキングは人間との対面面接のため、自然な会話力や非言語的な表現力も評価されたい場合に有利です。
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タイピングよりも手書きの方が得意な人:ペーパー版のIELTSを選べば、ライティングを手書きで解答できます。
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論理的な文章構成や意見の展開に自信がある人:ライティングでは、深掘りした論理的なエッセイが求められます。
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自然な英語運用能力を評価されたい人:人間の試験官が評価するため、機械では測れないニュアンスや表現の豊かさが評価されやすいです。
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準備に十分な時間がある人:IELTSは基礎的な英語力と時間をかけた対策が必要とされる傾向があります。
PTE Academicが向いている人
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タイピング速度が速く、パソコン操作に慣れている人:全ての試験がコンピューターベースで行われるため、有利です。
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AI採点に抵抗がない人:発音の明瞭さや流暢さなど、AIが評価しやすい要素を伸ばすことに集中できます。
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短期間でスコアが必要な人:試験日程が多く、結果も最短48時間で判明するため、急ぎの場合に適しています。
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IELTSのライティングやスピーキングでスコアが伸び悩んでいる人:PTEはAIが採点するため、テンプレートを活用するなど、対策次第でスコアが出やすいと感じる人もいます。
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英語の流暢さ(Oral Fluency)と発音(Pronunciation)に自信がある人:PTEのスピーキングセクションで特に重視される要素です。
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リスニングやリーディングでタイピングや要約を伴う問題に抵抗がない人:PTEは統合型問題が多いです。
試験会場へのアクセスと受験費用を考慮する
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IELTS:日本全国に会場があり、選択肢が多いです。受験料はPTEよりやや高めの場合があります。
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PTE Academic:日本国内では東京と大阪に限定されているため、地方在住者は移動費や宿泊費も考慮に入れる必要があります。受験料はIELTSよりやや安価な場合があります。
学習教材や情報量
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IELTS:長年の歴史があり、公式教材や対策本、オンラインリソースが豊富です。指導経験豊富な講師も多く見つけやすいでしょう。
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PTE Academic:比較的新しい試験であり、特に日本語の教材や情報はまだIELTSほど多くありません。英語の教材やオンラインコミュニティを活用する必要があるかもしれません。
結局のところ、「どちらの試験が良い」という絶対的な答えはありません。
まずは提出先の要件を最優先し、その上でご自身の英語の得意・不得意、学習スタイル、時間的な制約を総合的に考慮して、より高得点を狙いやすい、またはより効率的に学習を進められる試験を選択することが、目標達成への近道となります。
両試験の無料模擬試験などを試してみて、実際に肌感覚でどちらが自分に合っているかを確認するのも良い方法です。
まとめ:PTE Academic と IELTS、あなたに合う英語試験はどちら?
PTE Academicと IELTSは、どちらも世界中で広く認められている英語能力試験であり、特に海外留学、就労、移住を目指す方々にとって重要な役割を果たします。
本記事では、これら2つの試験を多角的に比較し、それぞれの特徴と難易度、そしてあなたに最適な試験を選ぶためのポイントを解説しました。
【IELTS:人間の評価と本質的な英語力を測る試験】
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概要:世界中で広く認知され、留学(アカデミック)と移住・就労(ジェネラル・トレーニング)の2種類があります。
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特徴:スピーキングは試験官との対面面接、ライティングは人間の試験官が採点。自然な会話力や論理的思考力、表現のニュアンスが重視されます。スコアは1.0〜9.0の0.5刻み。
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難しさ:特にライティングとスピーキングは人間の評価基準が厳しく、本質的な英語運用能力が問われるため、スコアが伸び悩むことがあります。対面での緊張も一因です。
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向いている人:対人コミュニケーションに抵抗がなく、論理的思考力や自然な英語表現に自信がある人。
【PTE Academic:AI採点と効率性を追求した試験】
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概要:全てのセクションがAIによって採点されるコンピューターベースの英語試験です。
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特徴:AI採点により結果が最短48時間と迅速。試験時間も約2時間半と短い。発音の明瞭さや流暢さ、タイピング速度、テンプレートに沿った回答などが重視されます。スコアは10〜90点の1点刻み。
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難しさ:AI採点への適応が鍵。複雑な統合型問題や時間配分の厳しさも特徴です。IELTSのライティング・スピーキングで伸び悩む人が、PTEではスコアを伸ばしやすいと感じることもあります。
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向いている人:タイピング速度が速く、パソコン操作に慣れている人。AI採点の特性を理解し、効率的な対策をしたい人。
【どちらの試験を選ぶべきか?試験選びのポイント】
最も重要なのは、スコア提出先の要件です。志望校や申請機関がどちらのスコアを認めているか、必要スコアレベルを必ず確認しましょう。
その上で、以下の点を考慮してください。
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あなたの英語の得意・不得意:対人コミュニケーションが得意ならIELTS、タイピングやAI採点への適応が得意ならPTE。
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学習スタイルと時間:本質的な英語力をじっくり高めたいならIELTS、パターン認識や効率的な対策で短期間に結果を出したいならPTE。
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会場のアクセス:全国に会場があるIELTSか、都市部に限られるPTEか。
ご自身の状況と目標に最も合った試験を選択することが、成功への近道となるでしょう。