IELTS | スピーキングに必要不可欠な「棚卸思考」とは?
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IELTSは、4つの技能を総合的に測る英語試験です。
4つの技能は、
- スピーキング
- リーディング
- リスニング
- ライティング
の4つに分かれており、それぞれのバンドスコアを加算平均した総合評価としてのオーバーオール・バンドスコアが算出されます。
本日は、その各スキルの中でも「スピーキングの試験」をどのように対策するかを記事にしようと思います。
そういった方に是非とも読んで欲しい記事となっています。
また、IELTSの概要をまずは知りたいという方は、以下の記事を先にご覧ください。
1. スピーキングのスコアをアップさせる「棚卸思考」とは?
後述もしますがIELTSのスピーキングテストでは、ご自身の身の回りの事や経験に関する質問がされます。
- 出身地の事や今住んでいる場所の話
- 家族構成、親戚の話
- 仕事の事や学校の事
- 趣味、週末に何をしているか
上記のように様々な話があります。
4つの全てにおいて関連して言える事は、
「自身の過去や経験に基づいた会話であり、専門的な事ではない」
という事です。
過去や経験は、「勉強する」という作業
というよりは「過去の経験をひっくり返して思い出す」が近いと思います。
この過去の経験をひっくり返して思い出す行為を、
「過去の棚卸」
と呼ぶことにしましょう。
1.2 過去の棚卸 = 会話の広がり
過去を思い出すという事は、日常で行っているように感じるかもしれません。ですが、ふたを開けてみると、過去の事をなんとなく思い出しただけで、より詳細な事は思い出していないのではないでしょうか。
例えば、
- その時の自分の感情はどうだったか
- 誰がいたのか
- 具体的にいつ頃の話か
- 何のためにそれを実施したのか
- その結果どのようになったか
といった具合に、詳細に思い出してみると会話に変化が生まれます。
短絡的な過去の説明に終わらず、その時の情景をより具体的に聴き手に伝える事が出来るんですね。
所で、気づいた方もいるかもしれませんが、これらの項目は5W1Hに非常に近いものとなっています。
5W1Hは、一番重要な事を先頭にもってくるニュース記事を書く時の慣行である。ニューススタイルの規則では、以下の5Wと1Hの多くを含むとより読み手に伝わる記事となる。
・When (いつ)
・Where (どこで)
・Who (誰が)
・What (何を)
・Why (なぜ)
・How (どのように)
IELTSのスピーキングの際は、上記のような5W1Hを意識して会話を展開していくと、IELTSスピーキングテスト担当者も全容を理解しやすくなるという事です。
流暢な英語を話しても、相手に伝わらないのでは本末転倒ですし、IELTSのスコアも勿論上がらないという事になります。
2. IELTSスピーキングテストの概要
IELTSスピーキングテストは、15分ほどの短い時間になりますが、パートが3つに分かれており、それぞれで聞かれることが若干違ったりします。
スピーキングテストは、
パート | 所要時間 | 内容 |
イントロダクション | 30秒 | 個人情報の伝達。本人確認 (パスポート必須) |
インタビュー | 3.5~4.5分 | 自身の出身地 / 家族 / 学校の事や仕事の事 / 自身の嗜好等 |
スピーチ | 3~4分 | 過去の出来事 / 将来の事 / 国や地域に関して 等様々 |
ディスカッション | 4~5分 | スピーチの内容の掘り下げ |
このように構成がされています。短い時間で、1人の試験官とかなりの量の英語を話す事になります。
2.2 スピーキングスコアの評価基準
IELTSスピーキングテストは、4つの基準に基づいて採点がされていきます。
- Fluency and Coherence <流暢さや論理一貫性>
会話の店舗の良さ、意見やアイディアの論理性を持ちながら話す事が出来ているかを測定
- Lexical Resource <語彙の豊富さ>
スピーキングの際に、幅広い語彙を正確かつ的確に使う事が出来るかを測定
- Grammatical Range and Accuracy <文法の幅広さとその正確性>
スピーキング時、文法が正しく使われているか、そしてその正確性などを測定
- Pronunciation <発音>
聞き取りやすい英語を話しているかどうかを測定。強弱の聞いた話方や発音(日本人は特にR と Lが難しいですよね)の明快さ等を測ります。
弊社で提供しているIELTS TRAINER PROでは、上記のような項目にそって実際にスピーキングのスコアを担当講師が算出します。
体験レッスンは無料で受講が出来ますので、興味のある方は是非受講してみて下さいね。
3. 自己紹介スキルが上がる!経験の棚卸 【パート1対策】
IELTSスピーキングテストのパート1では、主にご自身の生まれた場所や家族の事、仕事、学業、趣味等の会話を主に行います。時間はそこまで長くはありませんが、1語で回答すると話が短くなりすぎてスピーキングの試験になりません。
試験官から質問をされたらそれに対して+αの回答を準備しておきましょう。
【出生地の引き出し例】
- 日本のどこに位置しているのか。
- 何が有名なのか。
- 人口はどれくらいか。
- その出生地での思い出(その場所ならでは)は何かあるか
【家族の引き出し例】
- 家族構成はどういうものか
- 自分の続柄は何か
- 家族での思い出はあるか
等です。
こういった具合に、各質問に対して広がりを意識しておくと、極端に短い回答を避ける事が出来ます。
3.2 ご自身の経験を棚卸しておく
パート1では、受講者が実際に経験したことなども質問される事があります。家族構成や出生地と共に、ご自身の経験も棚卸しておくと経験に関しての質問がされた時も対応が出来ます。
ここでも5W1Hを意識して、1つの経験の広がりを意識して棚卸してみましょう。
私の場合、小学生 – 高校生まで野球をしていましたので、
好きなスポーツはなんですか?
子供の頃に何に打ち込んでいましたか?
といった質問に対して対応できると思います。
これに5W1Hをあてがうと私の場合このように一つの展開を広げる事が出来ると思います。
when いつからいつまで? | 小学校4年生から高校1年まで |
where どこで? | 小:地元のクラブチーム 中:隣の町のクラブチーム 高:隣の県の私立高校野球部 |
why なんで野球? | 母の影響。プロ野球にあこがれて |
how どれくらい真面目に? | バッティングセンターに沢山通い、クラブがない日でも野球に打ち込んでいた |
これだけ記憶を引き出しておけば、後は英語の準備をするだけです。
日本では小学中学高校という階級制度になっていますが、海外ではこの言い方だと伝わらない場合があります。アメリカでは学年をグレードと呼び、日本の小学校1年生から高校3年生までがグレード1~12に相当します。
グレードに関しては、別の記事できれいにまとめていらっしゃるページがあったのでそちらをご覧ください。参考はこちらより
一つの経験を広げていくと、より多くの会話が出来ます。掘り下げをしていくと、上記注意点のような日本と各国との”違い”にも行きつく事が出来るので、より伝わりやすい内容でスピーキングテストを進めて行く事が出来ます。
4. 棚卸した事柄を掘り下げて、試験官に情景をイメージさせよう 【パート2対策】
IELTS スピーキングのパート2では、試験官からトピックカードと鉛筆を渡され、1分間の準備時間が与えられます。1分間でトピックを理解し、スピーチ内容をメモに書きながら考えていきます。
スピーキングしている間は、メモを見る事も許されるので、メモを最大限有効活用していきましょう。
スピーチの時間は1~2分間ですが、時間オーバーで減点される事はありません。メモを取りながらどういった話を組み立てていくかも具体的にしておき、最大限会話を続けられるように準備しておきましょう。
4.2 トピックの出題傾向
IELTSスピーキング パート2では、ご自身の過去の経験、出来事や将来の事等が出題されます。将来展望、国や地域の事等幅広い出題傾向ですが、決して専門知識がいるようなパートではありません。
なので、パート2では特にご自身の過去の出来事や経験。それに紐づいた将来の目標等に関して棚卸しておきましょう。
4.3 経験の棚卸の時には、試験官に情景をイメージさせることを心掛ける
IELTS スピーキングの試験は、試験官との対話形式のテストになります。スコアリングのために多少のマニュアルがあると思いますが、完全な機械的分析ではありません。
同じ人間があなたのスピーキングスコアを採点するのです。
つまり、2分間の話がどれだけ印象に残り、どれだけ情景が伝わったかどうかはスコアアップに貢献する要素となり得ます。
当たり前の事ですが、試験官はあなたと初めて会う人ですね。
何もわからない相手に対して自分の過去の事や経験を伝えるのは、親しい知人や家族に伝えるのとはわけが違います。
2分間のスピーチで、出来る限りその情景をイメージさせ、自分の性格も伝わるように努力してみましょう。
ここでは、経験や出来事の棚卸と共に、色を付けていくようなイメージを持つと良いと思います。
その色付け作業のためにパート2でも5W1Hを意識してスピーチを展開するのです。
例として以下のような問題が展開されたとしましょう。
学生時代に経験した修学旅行(その類)について話して下さい。
・どこに行ったか
・なんの教科に関しての領域だったのか
・誰に出会ったのか
・そこで学んだことがなぜ大事なのか
これに対しての回答としては、大学時代に経験した海外渡航を上げます。最も私の人生に影響を与えた2週間だったので、この類の質問が来たら迷わず、この大学時代の経験を話します。
情景を伝える時は、自分自身の感情や考え方の大転換があった時の事が比較的伝わりやすいと考えています。
なので、過去の棚卸の時にお勧めなのが、ご自身の今の生活にとても大きな影響を与えた項目をピックアップすると良いと思います。
5. パート2に社会的意義を絡ませよう 【パート3対策】
パート3は、IELTSスピーキングでも最難関のパートと言えます。一方的に話を展開するパート2と違って、ここでは試験官とディスカッションをする必要があります。
基本的には、パート2のスピーチのトピックに関連するものになりますので、パート2をより掘り下げていくようなニュアンスを持っておけば宜しいかと思います。
このパートは、パート2をさらに社会意義の視点で掘り下げていく時間となります。時間もパート1やパート2よりも長いため、一番集中しなければならない所ですね。
パート3はディスカッションですので、試験官は質問をしてきます。
質問は様々なものがありますが、例えば以下のようなものです。
- 列挙 : ディスカッションの開始時に問われる項目です。まとめのようなものですね。
- 比較:対比する二つの要素 (男女・高齢者と若者等)
- 将来の推測:車・移動手段・インターネット等我々の生活に定着している要素の将来推測
- 同意 / 反対:人々が考える一般的意見に対する自身の同意 / 反対
この他にも色々なタイプの質問がされる可能性があります。
上記のような内容がパート2で出題されたトピックと関連して質問されます。
以下の問題が出たとしましょう。
この問題が掘り下げられるとして、どのような質問が飛んでくると思いますか?
比較 | 国内研修と海外研修 |
推測 | 外部研修はこれからより活発に教育現場で採用されるか |
意見 | 外部研修は教育現場に必要か |
ざっくりと考えただけでもこのようにディスカッションで話が展開されていくと予想できると思います。勿論、これはあくまでサンプルであって、これ以外の質問が飛んでくることもある事でしょう。
5.2 棚卸した経験を肯定する方向で論理を固める
IELTSスピーキングパート3ではディスカッションになりますので、どうしても自分の意見や考え方を伝える事が必要になってきます。
自分の意見を伝えるためには、自分が賛成なのか、反対なのか、正しいと思うか、誤っていると思うかといったどちらかに自分の意見を合わせる必要があります。
どちらの側に自分がいるのかわからない時は、ディスカッションが成立しません。このパート3で大事な事は正しいかどうかではなく、意見を論理的に組み立てて発言する事が求められています。
ディスカッションを進める上で、
ご自身の棚卸した過去や経験を肯定する側に立つことをお勧めします。
自分の決断や過去を肯定(自己肯定)する事は、この試験だけではなく皆さんの人生にも役に立つと思います。
パート2で話した経験を掘り下げるこのパート3では、まず自分の立場を「自身の経験を肯定する」方向で社会的意義に絡ませてみて下さい。
この質問に対して、私は大学の経験の話をするのですが、このパート2で話した内容がパート3では以下の方に掘り下げられると言いましたね。
比較 | 国内研修と海外研修 |
推測 | 外部研修はこれからより活発に教育現場で採用されるか |
意見 | 外部研修は教育現場に必要か |
この内容に対して、私の意見はこのようになります。
- 国内研修と海外研修では海外研修がより意義があると思う
- 外部研修はこれからも活発に教育現場で採用される
- 外部研修は教育現場に必要である
このようになります。私の経験を全て肯定してみました。
もう一度、大事な事なので言うと、IELTSスピーキングのパート3において大事な事は、意見が正しいかどうかではないのです。
どれだけ論理的に自分の意見を展開できるかを求められているのですから、自分を肯定する意見の方が論理に一貫性(Coherence)を持たせることも容易になります。
6. IELTSに精通した人に棚卸内容をぶつけてみる
ここまで「棚卸思考」に関してまとめてみました。
IELTSスピーキングテストは、英語の関連試験の中でも日本人にとって難易度が高いと思います。
過去の経験の掘り下げも大事ですが、文法や語彙力といった要素も重要になるからです。
この記事では、IELTS スピーキングの対策を事前に行うことが出来るという事を伝えてきました。
後は、棚卸した過去の経験を誰かにぶつけてブラッシュアップする時間を設けてみましょう。
ブラッシュアップの数だけその過去や経験は光っていきます。自分自身で掘り下げ続ける事は出来ますが、誰かにアウトプットしなければその経験はずっと自分の思考の結果のままです。勇気がいる事ですが、自分の過去の経験を誰かに話してみて下さい。
私達IELTS TRAINER PROの講師・スタッフ一同、皆さんの素敵な過去の経験を聞ける日が来ることを願っています。