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IELTSの難易度は高い?ほかの資格に換算した場合の難易度を解説

IELTS対策について

目次
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IELTSは英語圏の国々への海外留学や就労にあたって、英語力を証明するためのテストです。1.0〜9.0の9段階で英語力が評価され、日本人の獲得スコアの中央値はアカデミック・モジュールが5.5、ジェネラル・トレーニング・モジュールが6.0です。TOEIC®や実用英語技能検定(英検)で高得点を獲得した方にも、IELTSの難易度は高いと言われています。

この記事では、IELTS™とTOEIC®・英検・TOEFL®の難易度の比較、およびIELTSの難易度が高いとされる理由や、各科目でスコアを伸ばすポイントを解説します。

1. IELTSとは

IELTSとは、イギリス・オーストラリア・アメリカなど英語圏の国々への海外留学や就労、移住に必要な英語力の測定を目的としたテストです。「International English Language Testing System」の頭文字を取った略称で、IELTS(アイエルツ)と読みます。

IELTSは、世界各国の1万を超える機関で認定されている英語テストであり、年間300万人以上がテストを受験しています。

IELTSとは?試験の特徴やTOEFLとの違いなど基本情報を解説

1-1. IELTSのテストモジュールの種類とそれぞれの科目内容

IELTSのテストモジュールには、「アカデミック・モジュール(アカデミック)」と「ジェネラル・トレーニング・モジュール(ジェネラル)」という2種類のモジュールがあります。

アカデミックとジェネラルはテスト目的が異なるだけではなく、一部のテスト内容にも違いがあるため、IELTS受験を考えている方は違いを把握しましょう。

アカデミック・ジェネラルのテスト目的とテスト内容・試験形式の違いを、下記の表で解説します。

【IELTSのテスト内容】

テストモジュール IELTSアカデミック IELTSジェネラル
目的 英語で授業を行う大学や大学院への
留学・進学
英語圏での医師・看護師としての登録申請
学業以外、英語圏での就労や移住申請
リスニング(30分)
※ペーパーテストの場合は回答転写時間として+10分
  1. 日常生活における2人の人物による会話
  2. 日常生活におけるモノローグ
  3. 教育や研修現場での2人〜4人の会話
  4. 学術的なテーマに関するモノローグ

の4パートが出題される

リーディング(60分) 書籍・雑誌・新聞より抜粋した文章を使用、3つのパッセージが出題される

専門知識までは不要であるが、幅広い学術的内容が含まれる

  1. 英語圏の国での日常生活に関する2~3の短い文章
  2. 仕事に焦点を当てた2つの短い文章
  3. 一般的なトピックを扱った比較的長く複雑な文章

の3つのパッセージが出題される

ジェネラル・アカデミックともに

  • 選択肢問題
  • 情報識別
  • 正しい見出しの選択
  • 情報・内容の一致
  • 章、要約などの完成

などの形式で出題される

ライティング(60分)

アカデミックでセミフォーマル、中立的な文体で執筆を求められる

英単語や文法の知識だけでなく、論理的な文章を書き、適切にデータを選択・比較するスキルも必要になる

タスク1. 提示されたグラフや図表から情報を要約して説明する
タスク2. 意見・問題と解決策、長所・短所などについてのエッセイを書く
大学・大学院への進学希望者向けのライティングスキルが問われる

上記2つのタスクが出題される

日常生活の場面がテーマになる

タスク1. 与えられた状況に合わせて、情報を要求したり状況を説明したりする手紙やメールを書く
タスク2. 意見・問題と解決策などについてのエッセイを書く(アカデミックと比べ、文体がフォーマルでなくても問題ない)

上記2つのタスクが出題される

スピーキング(11~14分)
  1. 自己紹介とインタビュー(4~5分)
  2. スピーチ(3~4分)
  3. ディスカッション(4~5分)

の3つのパートが出題される

出典:IELTS「出題形式

アカデミックは大学や大学院への留学・進学を目的としているため、リーディング・ライティングのテストは学術的な内容が出題されます。リーディングでは、学術的な文章を理解し、主旨や詳細な情報を素早く把握する能力が必要です。ライティングでは、英語の語彙力・文法力はもちろん、設問に対して論理的に導き出した答えを英語で表現する能力も必要です。

対して、英語圏への移住・就労を目的とするジェネラルでは、リーディング・ライティングのテストで日常生活やビジネスに関連する内容が出題されます。ジェネラルはアカデミックよりも設問内容を理解しやすく、全体的な難易度は低いと言われています。

リスニング・スピーキングのテスト内容は、アカデミックとジェネラルで共通です。

1-2. IELTSのスコアについて

IELTSでは、テストの採点結果を「バンドスコア」と呼ばれるスコア基準で評価します。

バンドスコアは最低のスコアである1.0から、最高のスコアである9.0まで、0.5刻みで表示されます。IELTSの公式サイトでは、スコアごとに英語使用者としてのユーザータイプが示されており、英語レベルの違いも紹介されています。

IELTSのスコア基準(1.0~9.0)が示すユーザータイプと英語レベルの意味は、下記の表の通りです。

スコア ユーザータイプ 英語レベルの説明
9.0 エキスパートユーザー 英語を自由自在に使いこなす能力を有する。適切、正確、流暢、完全な理解力もある。
8.0 非常に優秀なユーザー 不正確さや不適切さがみられるが、英語を自由自在に使いこなす能力を有している。
慣れない状況下では誤解が生ずる可能性もある。込み入った議論にも対応できる。
7.0 優秀なユーザー 不正確さや不適切さがみられ、また状況によっては誤解が生ずる可能性もあるが、英語を使いこなす能力を有する。複雑な言葉遣いにも概ね対応でき、詳細な論理を理解できる。
6.0 有能なユーザー 不正確さ、不適切さ、誤解もみられるが、概ね効果的に英語を使いこなす能力を有する。
特に、慣れた状況下では、かなり複雑な言葉遣いの使用と理解ができる。
5.0 中程度のユーザー 不完全だが英語を使う能力を有しており、ほとんどの状況でおおまかな意味を把握することができる。ただし、間違いを犯すことも多い。
自身の専門分野では、基本的なコミュニケーションをとることが可能。
4.0 限定的なユーザー 慣れた状況においてのみ、基本的能力を発揮できる。理解力、表現力の問題が頻繁にみられる。複雑な言葉遣いはできない。
3.0 非常に限定的なユーザー 非常になれた状況において、一般的な意味のみ伝え、理解することができる。コミュニケーションの断絶が頻発する。
2.0 散発的ユーザー 慣れた状況下で、その場の必要性に対処するため、きわめて基本的な情報を片言で伝える以外、現実的なコミュニケーションをとることは不可能。英語の会話や文章を理解することは困難である。
1.0 非ユーザー 単語の羅列のみで、基本的に英語を使用する能力を有していない。
0 試験放棄 必要情報が提供されていない。

引用:IELTS「バンドスコア・採点方法」/引用日2023/11/12

IELTSを受験すると、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの各科目のテスト結果がバンドスコアで評価されます。バンドスコアを確認し、ターゲットスコアを取得するための得意・不得意を把握した上で科目毎の対策を進めていく必要があります。また教育機関によってはリーディング6.0以上など、特定科目のバンドスコアの条件を設定しているところもあり、事前に確認が必要です。

教育機関や就労先に英語力の証明として提出するスコアは、総合評価の「オーバーオール・バンドスコア」です。オーバーオール・バンドスコアは、4科目のバンドスコアの平均値であり、自分の総合的な英語力を示すスコアです。

IELTSのスコアの仕組みや英語力・評価基準!平均スコアも紹介

2. IELTSの点数をほかの英語資格・検定試験に換算した場合の比較

IELTSをほかの英語資格・検定試験と比較するには、まずは「CEFR」で各テストの点数を換算する必要があります。

CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)は、外国語能力の計測ができる国際基準です。CEFRには「共通参照レベル」と呼ばれる6段階の等級があり、下記で示すように等級ごとに外国語能力の運用レベルに違いがあります。

【CEFRが提示する6段階の共通参照レベル】

熟練した言語使用者 C2 聞いたり読んだりした、ほぼ全てのものを容易に理解することができる。いろいろな話し言葉や書き言葉から得た情報をまとめ、根拠も論点も一貫した方法で再構築できる。自然に、流暢かつ正確に自己表現ができる。
C1 いろいろな種類の高度な内容のかなり長い文章を理解して、含意を把握できる。言葉を探しているという印象を与えずに、流暢に、また自然に自己表現ができる。社会生活を営むため、また学問上や職業上の目的で、言葉を柔軟かつ効果的に用いることができる。複雑な話題について明確で、しっかりとした構成の、詳細な文章を作ることができる。
自立した言語使用者 B2 自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的な話題でも具体的な話題でも、複雑な文章の主要な内容を理解できる。母語話者とはお互いに緊張しないで普通にやり取りができるくらい流暢かつ自然である。幅広い話題について、明確で詳細な文章を作ることができる。
B1 仕事、学校、娯楽などで普段出会うような身近な話題について、標準的な話し方であれば、主要な点を理解できる。その言葉が話されている地域にいるときに起こりそうな、たいていの事態に対処することができる。身近な話題や個人的に関心のある話題について、筋の通った簡単な文章を作ることができる。
基礎段階の言語使用者 A2 ごく基本的な個人情報や家族情報、買い物、地元の地理、仕事など、直接的関係がある領域に関しては、文やよく使われる表現が理解できる。簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄について、単純で直接的な情報交換に応じることができる。
A1 具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、用いることができる。自分や他人を紹介することができ、住んでいるところや、誰と知り合いであるか、持ち物などの個人的情報について、質問をしたり、答えたりすることができる。もし、相手がゆっくり、はっきりと話して、助けが得られるならば、簡単なやり取りをすることができる。

引用:文部科学省「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」/引用日2023/11/12

CEFRの共通参照レベルを使用することで、IELTSの点数をほかの英語資格・検定試験の点数に換算し、比較ができます。IELTSと代表的な英語能力テストの比較は、下記の表の通りです。

【各資格・検定試験とCEFRとの対照表】

CEFR IELTS ケンブリッジ英語検定 実用英語技能検定1級-3級 GTEC
CBT
Advanced
Basic
Core
TEAP TEAP CBT TOEFL® iBT TOEIC® L&R/TOEIC® S&W
C2 9.0
-
8.5
230
-
200
- - - - - - - -
C1 8.0
-
7.0
199
-
180
3299
-
2600
1級
-
準1級
1400
-
1350
CBT 400
-
375
800 120
-
95
1990
-
1845
B2 6.5
-
5.5
179
-
160
2599
-
2300
1349
-
1190
CBT Advanced 374
-
309
795
-
600
94
-
72
1840
-
1560
B1 5.0
-
4.0
159
-
140
2299
-
1950
準1級
-
2級
1189
-
960
CBT Advanced Basic 308
-
225
595
-
420
71
-
42
1555
-
1150
A2 - 139
-
120
1949
-
1700
2級
-
準2級
959
-
690
CBT Advanced Basic Core 224
-
135
415
-
235
- 1145
-
625
A1 - 119
-
100
1699
-
1400
準2級
-
3級
689
-
270
CBT Advanced Basic Core - - - 620
-
320

出典:文部科学省「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」

上記対照表はレベル換算の目安ですが、ほかの英語試験のスコアを持っているからといって必ずしも該当するIELTSスコアが取れるわけではありません。例えば、IELTSでスコア7.0を狙うには、英検1級やTOEIC® L&R/TOEIC® S&W合計点数1845~1990と同等以上の語学力が必要ですが、英検・TOEICと異なるIELTSの問題形式や回答スキルを身につけるための対策も必要です。

また、IELTSのテスト内容は論理的思考力や基礎レベルの一般教養、時間管理能力が求められるため、英語ネイティブであってもスコア8.5以上を取得するハードルは高くなっています。

2-1. IELTSとTOEIC®の難易度の違い

IELTSは、TOEIC®よりも難易度が高い試験です。もしTOEIC®の各テストで合計1845~1990点を取ったとしても、IELTSでスコア7.0を獲得するのは容易ではありません。

また、TOEIC®は主に2種類の試験があるものの、一般的にはリスニング・リーディングテストの「TOEIC® L&R」のほうが受験されています。対して、IELTSのテスト内容は英語4技能すべてのスキルが求められるほか、語学力だけでなく論理的な文章を書く力・話す力も必要です。

TOEIC®のリスニング・リーディングで高得点が取れたとしても、IELTSで同様に高いスコアを獲得することは難しいと言えます。そのため、IELTSの目標スコアに合わせてのテスト対策が必須です。

2-2. IELTSと実用英語技能検定(英検)の難易度の違い

IELTSと実用英語技能検定(英検)を比較した場合、一般的にIELTSのほうが高難易度です。

英検は級を選択してから受験する形式となっており、テスト内容や難易度は級によって異なります。合格ラインもあらかじめ決められていて、合格基準以上の点数を獲得すれば受験した級に合格できる仕組みです。

対して、IELTSはモジュールの違いこそあるものの、テスト内容の難易度を事前に決められるシステムにはなっていません。合格ラインという考え方も存在せず、テストで取得できた点数に応じてのスコアで評価される仕組みです。

目標スコアより高いスコアを取得するには共通する1つの本番レベルを意識しての対策が必要となるIELTSのほうが、受験級に応じた勉強をすればよい英検よりも難易度が高いと言えます。

2-3. IELTSとTOEFL®の難易度の違い

IELTSとTOEFL®は、どちらも英語4技能試験科目があるテストで、各科目のスコアと総合スコアが表示される点も共通しています。

IELTSとTOEFL®は、テスト内容に違いがほとんどありません。そのため、IELTSとTOEFL®両者の難易度にも大きな差はないと言われています。

また、一般的にTOEFL®はスピーキングの難易度が高く、IELTSはライティングの難易度が高いと言われています。どちらも難易度が高い英語能力テストであるため、より高いスコアを取得するには入念な試験勉強が必要です。

3. 日本人にとってのIELTS難易度

日本人がIELTSを受験した場合、難易度はどの程度なのでしょうか。テスト結果であるスコアの割合から、日本人にとってIELTSがどの程度の難易度か見てみましょう。

2022年にIELTSを受験した日本人のバンドスコアの割合は、下記の通りです。

【アカデミックにおける日本人のバンドスコアの割合】

スコア 4.0
未満
4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 6.5 7.0 7.5 8.0 8.5 9.0
割合(%) 1 2 6 15 24 23 15 9 4 2 0 0

出典:IELTS「2022 年の受験者のパフォーマンス」

【ジェネラルにおける日本人のバンドスコアの割合】

スコア 4.0
未満
4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 6.5 7.0 7.5 8.0 8.5 9.0
割合(%) 1 3 8 14 21 22 13 9 5 3 1 0

出典:IELTS「2022 年の受験者のパフォーマンス」

最も獲得割合が多いスコアはアカデミックが5.5、ジェネラルが6.0で、それぞれ全体の約5割を占めています。最も割合が多いスコアは、英検でいうと1級・準1級に該当します。これは、専門分野の技術的な話題や抽象的なテーマに関して、複雑な文章の主旨を理解でき、母語話者とのコミュニケーションも流暢で自然なレベルです。

2022年には、IELTSのアカデミックで8.5以上のバンドスコアを獲得している日本人はいません。

ジェネラルの場合は、アカデミックと比べて全体的なスコア分布が幅広いものの、8.5のバンドスコアを獲得している日本人は1%にとどまっています。

3-1. 日本人と日本以外の国々のスコアの違い

次に、日本人と日本以外の国々のスコアを比較します。

下記の表は、2022年におけるIELTS受験者の平均バンドスコアを、国籍別に分類したデータです。

【国籍別アカデミックにおける受験者全体および個人の平均バンドスコア】

国籍 リスニング リーディング ライティング スピーキング オーバーオール
イタリア 7.2 7.5 6.2 6.7 6.9
フランス 7.0 7.1 6.2 6.6 6.8
韓国 6.5 6.4 5.9 5.9 6.2
ベトナム 6.4 6.4 6.0 5.8 6.2
タイ 6.3 6.1 5.7 5.8 6.1
中国 6.1 6.4 5.8 5.6 6.1
日本 6.0 6.1 5.7 5.5 5.9

出典:IELTS「2022 年の受験者のパフォーマンス」

【国籍別ジェネラルにおける受験者全体および個人の平均バンドスコア】

国籍 リスニング リーディング ライティング スピーキング オーバーオール
フランス 7.2 7.2 6.4 6.9 7.0
イタリア 6.6 6.4 6.0 6.4 6.4
中国 6.5 6.5 6.1 6.1 6.3
韓国 6.1 5.8 5.7 5.7 5.9
日本 6.0 5.7 5.7 5.7 5.9
ベトナム 5.9 5.7 5.9 5.6 5.8
タイ 5.3 4.9 5.3 5.3 5.3

出典:IELTS「2022 年の受験者のパフォーマンス」

日本人の受験者の平均バンドスコアは、アカデミック・ジェネラルともに低い傾向があります。

日本人の平均バンドスコアが最も高いセクションは、アカデミックがリーディング、ジェネラルはリスニングです。しかし、どちらも他国籍の同科目における平均バンドスコアよりも低いです。

また、日本人の平均バンドスコアが低い科目はライティングとスピーキングです。

特にライティングは、他国籍の受験者も平均バンドスコアが6.0前後であり、他に比べ難易度が高い科目となっています。そのため、目標のオーバーオール・バンドスコアを獲得するには、ライティング以外の科目で目標スコアより高いスコアを取り、平均点を上げる方法も有効です。

4. IELTSの難易度が高いと言われる理由

IELTSの難易度はほかの英語資格・検定試験と比べて高く、多くの大学・大学院で求められるオーバーオール・バンドスコア5.5~6.5を獲得することは容易ではありません。

IELTSの難易度が高いと言われる理由を、3つの観点から解説します。

4-1. 英語力だけでなく論理的に答える力が求められる

IELTSのライティングテストでは、課題の内容を正しく理解し、論理的に導き出した答えを英語で記述しなければなりません。文章の構成力が評価基準に含まれる点も、難しいとされるポイントです。

特にアカデミックのライティングテストは時事問題、一般教養の内容が課題となっていて、フォーマルな文体を正しく書くことが求められます。フォーマルな英文に慣れており、かつライティングの勉強、IELTS対策を日頃からしていなければ目標スコアの獲得は難しいでしょう。

4-2. アメリカではなくイギリス・オーストラリア英語が使われる

IELTSは設問にイギリス・オーストラリア英語が使われている点が、難易度の高さにつながっています。

多くの日本人が義務教育で学習する英語はアメリカ英語です。IELTSで使われているイギリス・オーストラリア英語は、アメリカ英語とは単語の発音・アクセントが異なり、一部の単語はスペルにも違いがあります。回答自体はアメリカ英語で問題ないものの、違いに戸惑う場合もあるでしょう。

イギリス・オーストラリア英語に慣れるには、日頃からイギリス・オーストラリア英語の聞き取り・読み取りの練習を行う勉強法が重要です。特にリスニングテストはイギリス・オーストラリア英語の発音を知っているかどうかが得点につながるため、聞き取りの練習に時間をかけましょう。

4-3. 英語でアウトプットする必要がある

日本人は、英会話に代表される能動的な英語のアウトプットが苦手であると言われています。IELTSには試験官と対面での英会話を行うスピーキングテストがあることが、多くの日本人にとってIELTSの難しさにつながるポイントです。

特にスピーキングテストのパート2は、与えられたテーマについてスピーチを行う内容となっています。もともと人前でスピーチをする経験が少ないと、自分の考えを英語で表現することに難しさを感じるでしょう。

5. IELTSリスニングテストでスコアを伸ばすポイント

IELTSリスニングテストでスコアを伸ばすには、下記のポイントを押さえることが大切です。

先読みと回答の予測

リスニングテストの各設問が始まる前には、設問について説明するプレビューの時間が取られています。プレビューでは問題文と選択肢を読む時間が与えられます。その際に、できるだけ該当する部分の問題をすべて読むこと、問題文のキーワードを把握すること、また、記述式問題は回答の予測をつけておくことがポイントです。例えば、回答が「曜日」になるのか「値段」になるのかなど、回答の幅を狭めておくことで正答の確率をあげることができます。

また、すべての問題を先に読むことで音源の内容を予測したり、解答にかかわる英単語を聞き逃さないよう集中できたりします。問題の先読みスキルは、設問について多くの情報が得られる重要なテクニックです。

イギリス英語のアクセントに慣れる
リスニングテストに使用される音声は主にイギリス英語であり、アメリカ英語とは発音のアクセントに違いがあります。正確に聞き取れないと設問の内容が理解できなかったり、解答を間違えたりする可能性があるため、イギリス英語のアクセントに慣れておきましょう。
最も効果的なリスニング対策は、IELTSの問題と音源を使用した練習です。そのほか、普段からポットキャストやネットでBBCのようなイギリスのコンテンツを聞くことも有効です。
カタカナででもメモを取る

リスニングテストで流れる音声は1回しか聞けません。聞き逃しをなくすために、リスニング中は英文の書き取りをしましょう。

メモを取る際には英単語の正確なスペルを思い出す必要はなく、発音そのままをカタカナでメモを取ることが大切です。カタカナであってもメモを取っておけば、解答の最終チェックや転写時に再度考えて修正することができます。

IELTSリスニングテストでは、問題文を素早く読むリーディングスキルも重要となります。問題集を使ったテスト対策勉強時にも、問題文を先に読み、回答を予測することを心掛けてください。

6. IELTSリーディングテストでスコアを伸ばすポイント

次に、IELTSリーディングテストでスコアを伸ばす3つのポイントを紹介します。

まず段落の最初と最後を読む
アカデミックのリーディングテストは3つのパッセージで構成され、それぞれのパッセージでは、基本的に長文1つと複数の問題タイプを含む13問〜14問が出されます。最初からすべての文章を隅々まで読むと解答するための時間が足りません。まず段落の最初と最後を読んで、パッセージは何について記述しているか、結論は何かを把握しましょう。
設問から読み始める

パッセージの内容をおおまかに把握した後は、設問から読み始めることが大切です。設問で何が問われるかを把握すると、どのような文章・単語に注目してパッセージを読むべきかが分かります。

特に出題されることが多い「TRUE/FALSE/NOT GIVEN問題」「選択肢問題」などは、基本的に問題の順番に沿って本文中に答えが出ています。設問から読み始めれば、問題を順序よく解けるようになり、効率的にリーディングテストを進められるでしょう。

パッセージごとに時間制限を設ける

リーディングテストは60分の試験時間中に、3つのパッセージから出題される問題に解答します。すべての設問を読んで解答を記入できるよう、パッセージごとに制限時間を設けましょう。

各パッセージに20分ずつ均等な時間を割り当てることで、最後の問題までたどりつき、正答数が多くなる可能性につながります。

1つのパッセージが20分内に解答できなければ、できるだけ早く次のパッセージに移るようにしてください。

リーディングテストで出題される長文を読むときは、重要な単語にマークを付けておくと、解答するときに必要な情報を見つけやすくなります。ペーパー形式の試験では書き込みが可能で、コンピューター形式ではハイライトをつけることができます。

7. IELTSライティングテストでスコアを伸ばすポイント

IELTSアカデミックのライティングテストでスコアを伸ばすポイントは、下記の3つです。

アカデミックライティングのルールを知る

フォーマルな文体が求められるアカデミックのライティングテストには、下記のようなルールがあります。

  • タスク1では「I」「We」「Our」のような一人称は原則使わず、客観視点で書く
  • タスク1では主に受動態を適切に使う
  • タスク2では本題段落の最初にトピックセンテンスを書き、具体例や根拠を示す
  • タスク2の具体例は必ずしも事実である必要はない
  • 「don’t」「wasn’t」のような短縮形を避ける
  • 口語的な表現やカジュアルな表現を使わない
  • 12以下の数字はアルファベットで書く など

また、文章は基本的に導入、本題、結論の3つで構成し、適切に段落分けをしましょう。特に本文には十分なワード数を使い、論理的に議論を展開する必要があります。

聞かれていることすべてに正しく回答する

ライティングテストの設問には、「何について書くべきか」の問題文が記載されています。問題文に沿った答えが示されているかはライティングテストの評価基準であるため、聞かれていることすべてに正しく回答しましょう。

タスク1では、説明不足である以上に、示された図表がグラフと相違する内容を書くと減点につながります。タスク2では、出題された設問から外れた解答を含んでいる部分はOff Topicと言われ、減点につながります。そのため、設問の本質を理解し、問題文に対する答えを正しく、客観的に書く練習が必要です。

自分の知っている言葉で間違いのない英文を書く

フォーマルな文体が求められるアカデミックのライティングテストであっても、難しい単語や表現だけにこだわる必要はありません。文法や語法に間違いがあると減点対象になるため、採点者が読みやすいよう、自分の知っている言葉で間違いのない英文を書くことを心掛けましょう。

ただし、同じ単語やフレーズを繰り返して使うとスコアが低下するため注意してください。なるべく多様な表現ができるように、語彙力を増やす勉強が大切です。

IELTSのライティングテストは、日本以外の国々でもスコアが最も低い科目です。ライティングテストのスコアアップを目指すには、早めに、十分な時間を確保して対策するとよいでしょう。

8. IELTSスピーキングテストでスコアを伸ばすポイント

IELTSスピーキングテストでは、下記の3つのポイントを押さえるとスコアを伸ばせます。

分からないことは聞き返し正しく理解する

試験官の質問が聞き取れなかった場合は、はっきりと聞き返しましょう。聞き返す行為は減点の対象ではありません。分からないまま話を続けるよりも、聞き返して質問の意図や話題を正しく理解したほうがスコアを伸ばせます。たくさん話をしても、質問に正しく回答できなければ減点となるため注意してください。

しかし、同じ質問を2回聞くことは基本NGと考え、聞き返した質問を2回聞くときは確実にキャッチできるようにしましょう。

沈黙する時間を作らない

スピーキングテストで試験官から質問やスピーチを促されても沈黙していると、減点の対象となります。沈黙する時間を作らないために、「フィラー」と呼ばれるつなぎ言葉を使いましょう。「Actually(実際のところ)」「Let me see(ええっと)」「I haven’t thought about that but(それについて考えたことはありませんでしたが)」などがフィラーの例です。

フィラーは、抽象的な質問への即答が必要なパート3で特に役立つテクニックです。すぐには答えられない質問も、フィラーを活用すれば答えを考える時間が作れます。

ボディランゲージや表情を活用する

日本人の受験者は笑顔のなさや声の小ささのせいで試験官に好印象を与えられないことがあります。ボディランゲージの活用や表情を笑顔にすることを心がけて、大きな声で話すことが大切です。

ボディランゲージを活用すると口調に抑揚がつけやすくなり、会話の中で大切な部分を試験官に伝えやすくなります。

笑顔で話すと緊張がほぐれて、円滑なコミュニケーションを取りやすくなるでしょう。そもそもIELTSスピーキングテストでは、英語で話すコミュニケーションスキルが問われていることを忘れないようにしましょう。

スピーキングの発音は、相手に正しく内容を伝えられるかが重要です。オンライン英会話などをスピーキング対策に活用して、自信を持って話す訓練をしましょう。

まとめ

IELTSはTOEIC®や英検より難易度が高いとされており、それらのテストで高得点を取っている方でも高スコアの獲得が難しいことが多々あります。

理由として、IELTSは英語能力だけでなく、論理的な文章を組み立てる力や、自分の意見・考えをアウトプットする力も求めているためです。また、日本人が比較的学校英語などで慣れているアメリカ英語ではなく、イギリス英語が出題に使われる点も難易度が高くなる理由の1つです。

IELTSスコアを伸ばすには、英単語や文法、発音の知識だけでなく、論理的な文章作成スキルや、相手に正しく伝わるコミュニケーションスキルも必要になります。

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