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IELTSと英検はどちらを受けるべき?テスト内容や難易度を解説

IELTS対策について

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日本では、「英語力を測定する試験」と聞いて英検®(以下、英検)やTOEICを思い浮かべる方が多くいます。しかし、英語圏の大学進学や就職をする際は、国際的に認められている「IELTS™(以下、IELTS)」の一定スコアが求められることもしばしばあります。

IELTSとは、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの英語4技能のスキルを測定できる試験です。一方で、英検もIELTSと同様に英語4技能を測定できることから、IELTSと英検のどちらを受験すべきか迷っている方も多くいるでしょう。

そこで今回は、IELTSと英検の概要や違いを項目別に徹底解説します。海外留学や就職に向けて英語力を証明できる試験に興味のある方や受験したい方は、ぜひ参考にしてください。

1.IELTSと英検(実用英語技能検定)の違い

IELTSとは、「International English Language Testing System」の頭文字をとった略称であり、全世界において11,500以上の機関で認定されているイギリス発祥の英語試験です。

対する英検は、「実用英語技能検定」の略称であり、公益財団法人 日本英語検定協会が実施・運営する日本の英語試験です。現在では、オーストラリアやカナダ、アメリカをはじめとした海外400以上の教育機関で認定されていますが、主に日本国内で使用されます。

IELTSと英検は、いずれも英語における4つの技能を測定できる点が特徴です。

【IELTSと英検で測定できる英語4技能】

(1)リスニングスキル(聞く力)

(2)リーディングスキル(読む力)

(3)ライティングスキル(書く力)

(4)スピーキングスキル(話す力)

ただし、IELTSと英検は受験目的や試験種類・形式など多くの部分で違いがあります。IELTSと英検のどちらの受験が自分に適切なのかを明らかにするためにも、ここから紹介する双方の違いをしっかりと把握しておきましょう。

1-1.IELTSと英検の目的の違い

イギリス発祥の英語試験であるIELTSは、主に英語圏の大学・大学院への進学・留学や、英語圏での就職・移住に向けて4技能の英語力を測定する試験です。

世界140か国で実施される「グローバルスタンダードテスト」としても知られており、認定機関は11,500以上に及びます。英語圏の大学・大学院や企業では、一定のIELTSスコアを外国人の入学要件・応募条件として定めるところも多くあります。

一方で、日本発祥の英検は主に社会で通用する「実用英語」を身につけるための試験であり、日本人の小学生から社会人まで幅広い層が対象です。日本企業への就職・転職を望む方や、オールラウンドな英会話力を伸ばしたい方に適した英語試験と言えるでしょう。

1-2.IELTSと英検の試験の種類の違い

IELTSは目的によって、「アカデミック・モジュール(以下、アカデミック)」と「ジェネラル・トレーニング・モジュール(以下、ジェネラル・トレーニング)」の2つのテストモジュールに分けられます。

アカデミックは英語圏の大学・大学院への進学に向けた設問が、そしてジェネラル・トレーニングでは英語圏での就職や移住に向けた設問が出題されます。いずれにおいても、合否が判断されるのではなく、正答率によってIELTSスコアが決まる形です。

【IELTSのスコア基準と英語レベル】

スコア ユーザータイプ 英語レベルの説明
9.0 エキスパートユーザー 英語を自由自在に使いこなす能力を有する。適切、正確、流暢、完全な理解力もある。
8.0 非常に優秀なユーザー 不正確さや不適切さがみられるが、英語を自由自在に使いこなす能力を有している。
慣れない状況下では誤解が生ずる可能性もある。込み入った議論にも対応できる。
7.0 優秀なユーザー 不正確さや不適切さがみられ、また状況によっては誤解が生ずる可能性もあるが、英語を使いこなす能力を有する。複雑な言葉遣いにも概ね対応でき、詳細な論理を理解できる。
6.0 有能なユーザー 不正確さ、不適切さ、誤解もみられるが、おおむね効果的に英語を使いこなす能力を有する。
特に、慣れた状況下では、かなり複雑な言葉遣いの使用と理解ができる。
5.0 中程度のユーザー 不完全だが英語を使う能力を有しており、ほとんどの状況でおおまかな意味を把握することができる。ただし、間違いを犯すことも多い。
自身の専門分野では、基本的なコミュニケーションをとることが可能。
4.0 限定的なユーザー 慣れた状況においてのみ、基本的能力を発揮できる。理解力、表現力の問題が頻繁にみられる。複雑な言葉遣いはできない。
3.0 非常に限定的なユーザー 非常になれた状況において、一般的な意味のみ伝え、理解することができる。コミュニケーションの断絶が頻発する。
2.0 散発的ユーザー 慣れた状況下で、その場の必要性に対処するため、きわめて基本的な情報を片言で伝える以外、現実的なコミュニケーションをとることは不可能。英語の会話や文章を理解することは困難である。
1.0 非ユーザー 単語の羅列のみで、基本的に英語を使用する能力を有していない。
0 試験放棄 必要情報が提供されていない。

引用:IELTS「バンドスコア・採点方法」/引用日2024/2/19

IELTSスコアは、4つの技能においてそれぞれ「1.0~9.0」の9段階評価となっており、4技能すべてのスコア平均値で最終的なIELTSスコア(オーバーオール・バンドスコア)が示されます。

対して、英検はIELTSのように目的別のテストモジュールがない代わりに、1級~5級までの7つの級から受験するテストの難易度を自由に選択できます。

【英検の各級の審査基準】

程度
1級 広く社会生活で求められる英語を十分理解し、また使用することができる。
準1級 社会生活で求められる英語を十分理解し、また使用することができる。
2級 社会生活に必要な英語を理解し、また使用することができる。
準2級 日常生活に必要な英語を理解し、また使用することができる。
3級 身近な英語を理解し、また使用することができる。
4級 簡単な英語を理解することができ、またそれを使って表現することができる。
5級 初歩的な英語を理解することができ、またそれを使って表現することができる。

引用:日本英語検定協会「各級の審査基準」/引用日2024/2/19

5級は小学校中学年~中学生、1級は大学生~社会人をターゲットとしたレベルです。就職活動において有利にはたらくのは基本的に「2級」または「準1級以上」と言われています。

1-3.IELTSと英検の受験形式の違い

IELTSの主な受験形式は、パソコン上で解答する「コンピューター版」と、紙・鉛筆を用いて解答する「ペーパー版」の2つです。どちらも、スピーキングテストは試験官との対面形式で行われます。

加えて、IELTSにはイギリス留学(英国ビザ申請)に特化した「‍IELTS for UKVI」が存在します。‍IELTS for UKVIにもコンピューター版とペーパー版の2つがありますが、コンピューター版は東京のみの実施となることに注意が必要です。

対する英検の受験形式は、従来型の英検と「英検S-CBT」の2種類があります。

従来型の英検では、一次試験(リーディング・リスニング・ライティングの筆記試験)と二次試験(スピーキングの面接)が2日間にわたって行われていました。

英検S-CBTは、この従来型の英検と英検CBTが一本化されたものです。2021年4月に誕生した新しい受験形式であり、すべてのテスト科目を1日で受験できる点が特徴となっています。試験日数も従来型の英検より多く、原則として毎週土日に実施されます。

スピーキングは、ヘッドセットをして回答を録音する形式で、ライティングは手書きの筆記型とキーボードで打ち込むタイピング型があります。

1-4.IELTSと英検の出題内容の違い

IELTSの出題内容はやや複雑で、テスト科目ごとに出題形式が異なるのはもちろん、一部科目においては設問ごとに解答形式が異なる点も特徴です。

例えばリーディングテストの場合、パッセージ内容を読んで解答するというのが基本の出題形式となるものの、設問によって「提示された複数の選択肢の中から1つを選ぶ」「要約文を完成させる」など解答形式が異なります。

また、アカデミックは書籍・雑誌・新聞より抜粋した文章が用いられる一方で、ジェネラル・トレーニングでは日常生活に関する英単語や一般的なトピックを扱った英文が多く用いられることも特徴です。

【IELTSの出題内容】

テストモジュール IELTSアカデミック IELTSジェネラル・トレーニング
リスニング
  1. 日常生活における2人の人物による会話
  2. 日常生活におけるモノローグ
  3. 教育や研修現場での2人~4人の会話
  4. 学術的なテーマに関するモノローグ

の4パートが出題される

リーディング 書籍・雑誌・新聞より抜粋した文章を使用、3つのパッセージが出題される
専門知識までは不要であるが、幅広い学術的内容が含まれる
  1. 英語圏の国での日常生活に関する2~3の短い文章
  2. 仕事に焦点を当てた2つの短い文章
  3. 一般的なトピックを扱った長く複雑な文章

の3つのパッセージが出題される

ジェネラル・アカデミックともに

  • 選択肢問題
  • 情報識別
  • 正しい見出しの選択
  • 情報・内容の一致
  • 章、要約などの完成

などの形式で出題される

ライティング

アカデミックでセミフォーマル、中立的な文体で執筆を求められる

英単語や文法の知識だけでなく、論理的な文章を書き、適切にデータを選択・比較するスキルも必要になる

タスク1. 提示されたグラフや図表から情報を要約して説明する

タスク2. 意見・問題と解決策、長所・短所などについてのエッセイを書く
大学・大学院への進学希望者向けのライティングスキルが問われる

上記2つのタスクが出題される

日常生活の場面がテーマになる

タスク1. 与えられた状況に合わせて、情報を要求したり状況を説明したりする手紙やメールを書く

タスク2. 意見・問題と解決策などについてのエッセイを書く(アカデミックと比べ、文体がフォーマルでなくても問題ない)

上記2つのタスクが出題される

スピーキング
  1. 自己紹介とインタビュー(4~5分)
  2. スピーチ(3~4分)
  3. ディスカッション(4~5分)

の3つのセクションが出題される

出典:IELTS「出題形式」

なお、スピーキングテストはテストモジュールを問わず3つのセクションで構成されております。

一方で、英検は級によって出題内容と難易度が大きく異なる点が特徴です。最も難易度の高い1級の出題内容は、下記の通りとなっています。

【英検の出題内容(1級の場合)】

リスニング
  • 会話の内容に関する質問に答える
  • 説明文などの内容に関する質問に答える
  • アナウンスなどの放送内容に関する質問に答える
  • インタビューの内容に関する質問に答える

の4種類の設問を4肢選択形式で解答する

リーディング
  • 短文や会話文の文脈に合う適切な語句を補う
  • 説明文や評論文の空所に文脈に合う適切な語句を補う
  • 説明文や評論文の内容に関する質問に答える

の3種類の設問を4肢選択形式で解答する

ライティング 指定されたトピックについての英作文を書く
スピーキング
  1. 面接委員と日常会話をする
  2. 与えられた5つのトピックの中から1つ選び、スピーチする
  3. スピーチの内容やトピックに関連したトピックに答える

の3つのセクションが出題される
トピックは社会性の高い幅広い分野のトピックから出題される

出典:日本英語検定協会「1級の試験内容」

各科目の基本的な流れにおいて、IELTSとの大きな違いはありません。しかし、英検は級ごとに問題形式や出題傾向が変わるため、各級別に対策が必要です。

1-5.IELTSと英検の試験時間の違い

IELTSのテスト時間は、アカデミックとジェネラル・トレーニングのいずれもペーパー版で「3時間」、コンピューター版で「2時間45分間」となっています。コンピューター版の試験時間が15分間短縮される理由は、問題冊子の配布・解答用紙の回収がないためです。

一方で、英検の試験時間は各級で異なります。

IELTSの試験時間 英検の試験時間
2時間45分 1級 一次試験:約135分(筆記試験100分+リスニング35分)
二次試験:約10分
準1級 一次試験:約120分(筆記試験90分+リスニング30分)
二次試験:約8分
2級 一次試験:約110分(筆記試験85分+リスニング25分)
二次試験:約7分
準2級 一次試験:約100分(筆記試験75分+リスニング25分)
二次試験:約6分
3級 一次試験:約75分(筆記試験50分+リスニング25分)
二次試験:約5分
4級 一次試験:約65分(筆記試験35分+リスニング30分)
二次試験:約4分
5級 一次試験:約45分(筆記試験25分+リスニング20分)
二次試験:約3分

出典:日本英語検定協会「英検の7つの級と特徴」

なお、従来型の英検を受ける場合は級を問わず一次試験と二次試験が2日に分けて行われます。英検S-CBTを受ける場合はすべてのテスト科目を1日で済ませることから、1日あたりの試験時間が長くなることも覚えておきましょう。

1-6.IELTSと英検の受験料・開催会場の違い

IELTSの受験料・開催会場は、「受験形式(ペーパー版orコンピューター版)」「試験実施機関」によって異なります。なお、アカデミックとジェネラル・トレーニングとで検定料に違いはありません。

一方で、英検は「受験形式(従来型英検or英検S-CBT)」「級」によって検定料と開催会場が異なります。また、英検の実施機関である日本英語検定協会の認定団体が設置した「準会場」と呼ばれる試験会場で従来型英検の2級~5級を受験する場合、検定料がやや安くなります。

IELTS 英検
ペーパー版/従来型英検の受験料/検定料※
※2023年12月時点
IDPおよびJSAF:27,500円
ブリティッシュ・カウンシル:28,500円
英検協会およびバークレーハウス:25,380円
1級:11,800円
準1級:9,800円
2級:8,400円(6,400円)※
準2級:7,900円(5,700円)
3級:6,400円(4,700円)
4級:4,500円(2,900円)
5級:3,900円(2,500円)
※()内は準会場の検定料
コンピューター版/英検S-CBTの受験料/検定料※ ※2023年12月時点 1級:9,900円
2級:9,000円
準2級:8,500円
3級:7,200円
ペーパー版/従来型英検の試験地域 IDP:札幌、仙台、東京、名古屋、静岡/浜松、京都、大阪、岡山、香川/高松、福岡、那覇
JSAF:東京・横浜・埼玉・山梨・名古屋・大阪・京都・神戸・岡山・広島
ブリティッシュ・カウンシル:東京、大阪、名古屋
英検協会:札幌、秋田、仙台、千葉/船橋、東京、横浜/川崎、長野/松本、金沢、静岡/浜松、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、福岡、熊本
バークレーハウス:東京、名古屋
日本全国
コンピューター版/英検S-CBTの試験地域 IDP:東京2会場、大阪2会場、京都1会場
JSAF:東京1会場、大阪1会場、京都1会場
ブリティッシュ・カウンシル:東京2会場、大阪1会場、名古屋1会場
英検協会およびバークレーハウス:東京2会場、大阪1会場、名古屋1会場
日本全国

上記を見て分かるように、英検は受験形式を問わず日本全国で試験が行われている一方で、IELTSは試験実施機関によって試験地域が細かく限定されていることも特徴です。IELTSを受験の際は、自分に合った受験形式を選んだ上で、各実施機関の開催スケジュールを確認するとよいでしょう。

2.IELTSを英検の難易度に換算するとどうなる?

IELTSと英検のどちらを受験するか悩んでいる方は、まずは受験の目的が最も大事ですが、その次はそれぞれの試験の難易度を知った上で、どちらをクリアすると必要な語学力を証明できるのか考えるとよいでしょう。

CEFRとは、英語をはじめとした外国語の運用能力・習熟度を同一基準で評価する国際基準のことです。「Common European Framework of Reference for Languages」の頭文字をとった略称であり、日本語では「ヨーロッパ言語共通参照枠」とも呼ばれています。

下記は、IELTSスコア「4.0-9.0」と英検の「1級-3級」の難易度が、CEFRにおいてどれほどのレベルに相当するかをまとめた表です。

【各資格・検定試験とCEFRとの対照表】

CEFR IELTS 実用英語技能検定
1級-3級
C2 9.0
-
8.5
- -
C1 8.0
-
7.0
3299
-
2600
1級
-
準1級
B2 6.5
-
5.5
2599
-
2300
B1 5.0
-
4.0
2299
-
1950
準1級
-
2級
A2 - 1949
-
1700
2級
-
準2級
A1 - 1699
-
1400
準2級
-
3級

出典:文部科学省「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」

一般的に大学受験や留学などで求められるIELTSスコアの「スコア5.5-6.5」はCEFRの「B2」にあたります。B2はある程度難しい内容でも理解でき、流暢かつ自然にコミュニケーションがとれるレベルです。英検では準1級~1級に相当する英語力があると言えます。

IELTSスコア「4.0-5.0」はCEFRの「B1」にあたり、英検2級~準1級レベルです。多少は英語を話して文を書ける、しっかりとした高校生レベルの英語力がある方はこれにあたります。英検2級より下の英語力であるA1-A2は、中学生レベルの英語力であり、IELTSでは十分なスコアを得られません。

IELTSスコア「8.5-9.0」は、CEFRの最上級レベル「C2」にあたります。しかし、英検にはこれに相当する級が設けられていません。英検で最高難易度とされている1級は、CEFRで「C1」、IELTSで「7.0-8.0」と、各試験において「2番目に高い」とみなされるレベルとなっています。

なお、CEFRが提示する6段階の共通参照レベルは下記の通りとなっています。

【CEFRが提示する6段階の共通参照レベル】

熟練した言語使用者 C2 聞いたり読んだりした、ほぼ全てのものを容易に理解することができる。いろいろな話し言葉や書き言葉から得た情報をまとめ、根拠も論点も一貫した方法で再構築できる。自然に、流暢かつ正確に自己表現ができる。
C1 いろいろな種類の高度な内容のかなり長い文章を理解して、含意を把握できる。言葉を探しているという印象を与えずに、流暢に、また自然に自己表現ができる。社会生活を営むため、また学問上や職業上の目的で、言葉を柔軟かつ効果的に用いることができる。複雑な話題について明確で、しっかりとした構成の、詳細な文章を作ることができる。
自立した言語使用者 B2 自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的な話題でも具体的な話題でも、複雑な文章の主要な内容を理解できる。母語話者とはお互いに緊張しないで普通にやり取りができるくらい流暢かつ自然である。幅広い話題について、明確で詳細な文章を作ることができる。
B1 仕事、学校、娯楽などで普段出会うような身近な話題について、標準的な話し方であれば、主要な点を理解できる。その言葉が話されている地域にいるときに起こりそうな、たいていの事態に対処することができる。身近な話題や個人的に関心のある話題について、筋の通った簡単な文章を作ることができる。
基礎段階の言語使用者 A2 ごく基本的な個人情報や家族情報、買い物、地元の地理、仕事など、直接的関係がある領域に関しては、文やよく使われる表現が理解できる。簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄について、単純で直接的な情報交換に応じることができる。
A1 具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、用いることができる。自分や他人を紹介することができ、住んでいるところや、誰と知り合いであるか、持ち物などの個人的情報について、質問をしたり、答えたりすることができる。もし、相手がゆっくり、はっきりと話して、助けが得られるならば、簡単なやり取りをすることができる。

引用:文部科学省「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」/引用日2024/2/19

IELTSスコアや英検における各級のレベル感をより詳しく理解するためにも、CEFRが提示する段階ごとのレベル感を覚えておくのがおすすめです。

2-1.IELTSと英検はどちらが難しい?

IELTSと英検は「英語4技能を測定する試験」である点が共通しているものの、基本的には異なる点が多いことから、どちらのほうが難しいかは一概には言えません。

一般的にIELTSスコア4.0~5.0は英検2級~準1級レベルとされ、中学~高校レベルの英語が身についていると考えられます。IELTSの設問には高度な英語力を持つ方向けの内容も出題されるため、高校レベルの英語に自信がない方は、まずは英検2級を受験して実力を確かめるとよいでしょう。

IELTSスコア5.5~6.5であれば、英検の準1級~1級に近い英語力を身につけています。海外留学でも6.0以上が求められるため、現在英検準1級~1級を持っている方は、6.0以上のスコアを目標にIELTSを受験してみましょう。

IELTSスコア7.5以上は英検1級と同等もしくは1級を超える高難易度です。IELTSのテスト難易度そのものはほかの英語資格と比較して極端に高いわけではないものの、単純な語学力だけでなく論理的思考力や一般教養、時間管理能力も求められます。スコア7.5以上を取得するのはネイティブであっても難しく、オックスフォードやイェール、ケンブリッジ大学といった世界的に有名な大学でも受験生に求めるスコアは7.0です。

また、IELTSと英検は出題傾向や目的が異なります。したがって、英検で高いスコアを取れていたとしても、IELTSで目標スコアを取るためにはしっかりと学習する必要があると言えます。

3.IELTSと英検のどちらを受験すればよい?

IELTSと英検のどちらを受験すればよいか悩む際は、下記のポイントをおさえておくことがおすすめです。

IELTSは国際的な英語力を測る試験・英検は国内で通用する英語力を身につける試験

IELTSは、「英語圏で就業・就学するのに足りる英語力の測定」を目的にイギリスでつくられた英語試験であることに対し、英検は「主に日本国内で通用する実用英語の習得」を目的とした日本人向けの英語試験です。

英語初心者の方や、自分の英語力が中学生レベルと感じている方、さらに現在中学生で将来的に海外留学を目指している方は、「基礎作り」の意味でもまず英検にチャレンジしてみるのもよいでしょう。

しかし、近い将来に英語圏での留学や就職などを目指す場合は、英検ではなくIELTSを受験し、着実にスコアアップを目指すほうがおすすめです。

IELTSと英検はいずれもスコアによって受験の際に優遇措置を受けられる可能性がある

IELTSスコアは英語圏の大学・大学院の入学基準として求められることが多く、英検は日本国内の大学受験や就職活動で「アピールポイント」として使用されることが多いことが特徴です。また、日本の大学によっては英検2級以上を取得していることで入試の優遇措置を受けられるケースも珍しくありません。

対してIELTSスコアはグローバルに通用する語学力の基準です。英語圏の大学・大学院では、基本的に「6.5以上」のIELTSスコアが必要とされており、IELTSスコアが一定以上に達していなければ留学や入学を認められません。また、英語圏の企業に日本人が就職をする場合は一定以上のIELTSスコアを求められるでしょう。

加えて、近年では、IELTSスコアも国内大学の受験で優遇措置の対象となるケースが増加しつつあります。日本の大学では「3.0~4.0」など達成しやすいIELTSスコアでも優遇措置を受けられる可能性もあります。「英語力にあまり自信がない」という方でも、大学受験に向けて一度チャレンジしてみるとよいでしょう。

4.初めてIELTS受験をするなら先に模試を受けるのがおすすめ

IELTSでは、試験対策向けの模試(模擬試験)が運営団体より公開されています。

IELTS専門のスクールを受講したり参考書・教材を活用したりすることは、もちろん大切です。しかし、初めてIELTSを受験するときは、まず模試を受けて試験内容に慣れるとともに、自分の実力をしっかりと把握しておくことが大切です。

IELTSの模試を活用すれば、試験本番に近い環境で予行練習ができます。出題傾向や現状の英語力が分かるだけでなく、時間配分など試験本番の感覚を掴めるため、効率よく勉強をしたい方やIELTS初心者は必ず受けるべきです。

IELTSの公式模試には、日本IELTSセンターのサンプル問題、およびFree IELTS familiarisation testが存在します。Free IELTS familiarisation testはIELTSの開催元であるブリティッシュ・カウンシルが提供する模試で、リスニング・リーディング・スピーキングテストの3科目を受験できます。

自分の実力を知りたい方はもちろん、自己採点だけでは得られない評価を知りたい方には非常におすすめです。

まとめ

IELTSとは、英語圏の大学・大学院への進学・留学や、英語圏での就職・移住に向けて4技能の英語力を測定する試験です。一方で、日本発祥の英検は主に国内で通用する実用英語を身につけるための日本人向けの試験となっています。

英語4技能を測定するという点は共通しているものの、受験目的や試験形式、出題内容、試験時間、難易度などにおいてはそれぞれ大きな違いがあります。英語スキルの基礎を固めたいという方は英検、海外留学や就職・移住などの明確な目的がある方はIELTSを受験することがおすすめです。

また、IELTSを初めて受験する際は、先に模試を受けて試験本番の感覚に慣れておくとよいでしょう。ここまでの内容を参考に、ぜひIELTSまたは英検にチャレンジしてみてください。

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