IELTS 3.5はどのくらい?|その他英語試験との比較
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IELTS(International English Language Testing System)は、英語のスピーキング、リスニング、リーディング、ライティングの4つのスキルを測定する国際的な英語能力試験です。主に以下の2種類があります。
- Academic(アカデミック)
・大学・大学院への留学を希望する人向け
・学術的な内容の読解やエッセイのライティングを含む - General Training(ジェネラルトレーニング)
・移住(特にオーストラリア、カナダ、イギリス等)や就労を目的とする人向け
・日常生活や職場での英語力を評価
そして、IELTSは世界中の多くの教育機関や企業、政府機関に認められており、TOEFLと並ぶ重要な英語試験の一つです。
今回はそんなIELTSの3.5レベルに着目してレベル感や対策方法をご紹介していきます。
1.IELTSスコアの仕組み
IELTSのスコアは0.0~9.0のバンドスコア(0.5刻み)で評価されます。
IELTS試験の4技能(Listening・Reading・Writing・Speaking)それぞれにバンドスコアが付けられ、その平均値が「Overall Band Score(総合スコア)」として算出されます。
IELTSのOverall Band Score(総合スコア)は、4技能(Listening・Reading・Writing・Speaking)のスコアの平均値を四捨五入して算出されます。
【四捨五入のルール】
・小数点以下が .25 または .75 → 0.5刻みで切り上げ
・それ以外 → 小数点第一位で四捨五入
Listening | Reading | Writing | Speaking | 平均 | OA |
6.5 | 6.5 | 5.5 | 6.0 | 6.125 | 6.0(小数点以下.25切り捨て) |
7.0 | 6.5 | 6.5 | 6.0 | 6.5 | 6.5(そのまま) |
7.5 | 7.5 | 7.0 | 7.0 | 7.25 | 7.5(小数点以下.25切り上げ) |
上記の表のような形でIELTSのOverall Band Score(総合スコア)は、計算されます。
また、最初に紹介したようにIELTSにはAcademicとGeneral Trainingの2つのモジュールがあり、正答数でバンドスコアが決まるListeningとReadingのうち、モジュールによって問題内容が変わるReadingは同じ正答数であってもスコアが変わります。
Academic Reading | General Training Reading | ||
バンドスコア | 正答数 | バンドスコア | 正答数 |
8.0 | 35 | 8.0 | 38 |
7.0 | 30 | 7.0 | 34 |
6.0 | 23 | 6.0 | 30 |
5.0 | 25 | 5.0 | 23 |
4.0 | 20 | 4.0 | 15 |
このようにIELTSは合格・不合格ではなくバンドスコアおよびオーバーオールバンドスコアで評価される仕組みとなっています。
IELTSスコアの仕組みについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事を読んでみてください。
2.IELTSのスコアの目安と評価基準
様々な目的でIELTSスコアを取得される方が多いと思いますが、一般的には以下の表のようなスコアを獲得していると目的が達成できるとされています。
目的 | 必要なIELTSスコア |
海外の大学(学部・大学院) | 6.5~7.5 |
移住(カナダ・オーストラリア等) | 5.0~7.0 |
海外就職 | 5.5~7.0 |
一般的な英語力証明 | 5.0以上 |
上記の表内のスコアを目指すとなるとListeningやReadingではどのくらい正解すればいいのか、そしてSpeakingやWritingではどのくらい解答できればいいのか気になりますよね。
IELTSのReadingは、先ほどIELTSスコアの仕組みのところで紹介した表内の正答数が必要になります。
また、IELTSのListeningもReadingと同じ正答数が必要になります。
Listening正答数 | |
バンドスコア | 正答数 |
8.0 | 35 |
7.0 | 30 |
6.0 | 23 |
5.0 | 15 |
4.0 | 10 |
しかしながら、IELTS SpeakingとWritingは、正答数というものがないためどのように判断されるのか見当つかない方もいると思います。
IELTS SpeakingとWritingはそれぞれ4つの観点から評価されます。
【Writing】
- Task Achievement(課題達成度)
・Academic:エッセイの論理的展開、主張の一貫性
・General Training:手紙やレポートの適切さ - Coherence & Cohesion(一貫性と結束性)
・文と文、段落と段落のつながりが自然か - Lexical Resource(語彙の幅)
・豊富で正確な語彙を使えているか - Grammatical Range & Accuracy(文法の幅と正確性)
・複雑な文を使いこなせるか、ミスが少ないか
【Speaking】
- Fluency & Coherence(流暢さと一貫性)
・話がスムーズか、内容が論理的につながっているか - Lexical Resource(語彙の幅)
・適切で多様な語彙を使えているか - Grammatical Range & Accuracy(文法の幅と正確性)
・正確な文法を使い、複雑な文も構築できるか - Pronunciation(発音)
・クリアで自然な発音か(アクセントは許容される)
上記の評価基準に沿ってバンドスコアが算出されます。
ですので、「これを書けば6.0が取れる」「この単語を使えば6.0が取れる」のようなはっきりとしたものがありません。
重要なのは上記に記載した評価基準にどれだけ沿って文章が書けているか、話せているかです。
3.IELTS 3.5はどのくらいのレベルなのか
IELTS 3.5は、「Extremely Limited(非常に限定的)」な英語力と評価されます。
これは、簡単な単語や短いフレーズでの会話はできるが、複雑な表現や長い文章の理解は難しいレベルを意味します。
IELTS 3.5の英語力を、他の試験のスコアと比較すると以下のようになります。
試験 | 3.5相当のスコア | レベル目安 |
TOEFL iBT | 31~34 | 基本的な英語は理解できるが、詳細な理解や長文の読解は難しい |
TOEIC L/ R | 350~400 | 簡単な日常会話は可能だが、ビジネス英語は厳しい |
英検 | 3級~4級 | 基本的な英会話はできるが、長文や複雑な内容の理解は苦手 |
CEFR | A2レベル | 簡単な日常会話ができるが、詳細な会話や仕事では不十分 |
ケンブリッジ英検 | KET | 日常の基本的な会話ができるレベル |
VERSANT | 35~40 | 単純な受け答えはできるが、自然な会話は難しい |
IELTS 3.5の実用的なレベルとしては、
- 日常会話:基本的な表現ならOK(例:レストランでの注文、道を尋ねる)
- 旅行英語: 簡単なやり取りはできるが、トラブル時の対応は難しい
- ビジネス英語: ほぼ不可(電話対応やメール作成は難しい)
- 留学・移住: 大学・移住の基準にはほぼ達しない(最低5.0以上が一般的)
となっています。
簡単に言い換えるとIELTS 3.5は「基礎的な英語力があるレベル」ということになります。
4.IELTS 3.5から目標スコア獲得までの学習方法
IELTS 3.5は基礎的な英語力があるものの、実際のコミュニケーションにはまだ不十分です。以下のような対策でIELTSスコアを伸ばせます。
- 語彙を増やす
目標:2000~3000語レベルを目指す
おすすめ学習法: 単語帳・アプリ(Anki, Quizlet, WordUp)を活用 - リスニング力の強化
目標:短い会話を正確に聞き取る
おすすめ素材: BBC Learning English, Voice of America(VOA Slow News) - ライティングの練習
目標:シンプルな文を正確に書く
おすすめ学習法:
短い日記を書く(例:「今日は何をしたか」)
Grammarly などのツールを活用して文法チェック - スピーキング練習
目標:短い文章でスムーズに話す
おすすめ学習法:
シャドーイング(英語音声を真似して話す)
オンライン英会話(Cambly, DMM英会話)
目標スコアがIELTS 5.0以上ならば、基礎固めをしてから本格的なIELTS対策を始めていきましょう!
4-1.IELTS 4.5を獲得するための学習方法
ここではIELTS 3.5から4.5にスコアアップするための学習法を具体的に解説します。
まず、IELTS 4.5を目指すうえで以下が目標と学習時間の目安となります。
目標:日常会話や基本的な情報を理解し、伝えられるレベル(CEFR B1相当)
👉 学習期間の目安:3〜6ヶ月(1日1〜2時間の学習)
IELTS 3.5から4.5へのスコアアップのポイントは、
- リスニング:基本的な会話・簡単な英語ニュースを理解できるようにする
- リーディング:短い文章を正確に読み取る力を養う
- ライティング:簡単で正確な文章を書き、文法のミスを減らす
- スピーキング:日常会話を自信を持って話せるようにする
の4点です。
これらのポイントを意識しながら以下の学習方法を行うと良いでしょう。
【リスニング強化】
- 英語音声を毎日20分以上聞く
- シャドーイングを行う
- ディクテーションを行う
おすすめの教材
- BBC Learning English – English at the Intermediate Level
- Podcast「The English We Speak」
- VOA Learning English
【リーディング強化】
- 毎日1つの短い英文を読む
- スキャニングの練習
- 語彙を増やす(目標:1500~2000単語習得)
おすすめの教材
- Cambridge IELTS公式問題集
- News in Levels(英語レベル別ニュース)
【ライティング強化】
- テンプレートを使用して文章を書く
- 基本文法を強化(現在形・過去形・未来形、比較級・最上級、仮定法の基礎)
- 週に2回、テーマを決めて150語の文章を書く
- オンライン添削を活用(Grammarlyで文法確認、IELTS Writing Checkerで模擬採点)
おすすめの教材
- IELTS Writing Task 1 & 2 Practice
- Write & Improve by Cambridge(無料添削サービス)
- English Grammar in Use – Basic
【スピーキング強化】
- よく出る質問の答えを準備
- 回答の型を使う
- セルフレコーディング
- オンライン英会話を活用
おすすめの教材
- IELTS Speaking Actual Tests
- ELSA Speak
ここで紹介した学習方法を続ければIELTS 3.5から4.5へのスコアアップが現実的に可能になると思いますので、根気強く続けましょう。
この段階で英語の基礎を磨き上げればさらに高いスコアがほしい場合も対応可能ですので、基礎固めはしっかりしておきましょう。
4-2.IELTS 5.0を獲得するための学習方法
ここではIELTS 3.5から5.0にスコアアップするための学習方法を解説します。
IELTS 5.0は日常的なコミュニケーションをこなせるレベルです。アカデミックな場面ではまだ難しいものの、仕事や留学の最低ラインをクリアできることを意味します。
👉 目標達成までの学習期間の目安:3〜6ヶ月(1日1.5〜2時間の学習を継続)
IELTS 3.5から5.0を獲得するためには、4.5を獲得するために必要な学習方法として紹介してきたものに加えて以下のことを意識すると良いでしょう。
【リスニング】
- シャドーイング:単語を正確に発音するより、話の流れをつかむことに集中する
- ディクテーション:IELTS特有の数字・地名・日付に慣れる
【リーディング】
- スキャニングのみならずスキミング(大枠をつかむ)の練習もする
- 語彙力を補強(5.0が目標なら2500~3000語必要)
- 週に1回はIELTS公式問題集の問題を解く
【ライティング】
- 比較表現や因果関係を説明できるようにする
- 毎週2つ以上エッセイを書く(常にTask 1は150語以上、Task 2は250語以上超える練習をする)
【スピーキング】
- 頻出トピックをパート別に対策する
- セルフレコーディングをする
5.0をIELTSで獲得するためには覚える単語数も増え、使う文法のレベルも上がってきます。
また、リスニングでは数字や地名、日付は5.0を獲得したいのであれば必ず聞き取れないといけないものになりますのでしっかりと練習をしておきましょう。
4-3.IELTS 5.5を獲得するための学習方法
IELTS 5.5は、日常会話をこなし、一般的な英文を理解・表現できるレベルです。多くの海外大学のファウンデーションコース(準備課程)や専門学校の入学基準となります。
👉 目標達成までの学習期間の目安:3〜6ヶ月(1日1.5〜2時間の学習を継続)
IELTS 5.5になると5.0や4.5よりも難しくなるため、よりIELTSに特化した対策が必要になります。
ここでは英語の基礎がついている前提でIELTS 5.5を目指すための学習方法を解説します。
【リスニング】
- 音声を毎日20分以上聞く習慣をつける
- 週に1回以上、IELTS模試を解き40分間の試験に慣れる
【リーディング】
- 語彙力を増やす(目標3000語)
- パラフレーズに慣れる(例:increase→rise, grow, surge)
- 60分以内に3パッセージを読む練習を毎週行う(文章の意味も理解する)
【ライティング】
- 頻出トピックを対策(Task 1:グラフ、表、地図、プロセス。Task 2:教育、テクノロジー、環境、社会問題)
- 週にそれぞれのタスクを2つ以上時間を測って書く(Task 1:20分、Task 2:40分)
【スピーキング】
- 回答テンプレートを覚える(I think, In my opinion, To be honest, From my perspective)
- セルフレコーディング(1日1つのトピックについて1~2分話す)
- 1日10分以上スピーキング練習を行い、流暢性と正確性を強化
5.0や4.5とさほど対策方法が変わらないと思う方もいるかもしれませんが、IELTS 5.5を目指す際は教材を今までと同じような簡単なものではなく、よりIELTSに近いレベルの教材およびIELTS公式問題集を使うようにしてください。
4-4.IELTS 6.0を獲得するための学習方法
最後にIELTS 3.5から6.0を獲得するための学習方法を紹介します。
IELTS 6.0は、大学の学部課程や海外での仕事に必要なレベルです。
日常会話に支障なく対応でき、学術的な文章を理解・意見を述べる力が求められます。
👉 目標達成までの学習期間の目安:6〜12ヶ月(1日2〜3時間の学習を継続)
IELTS 6.0になると、今までよりも学習時間が必要になり、3.5から6.0を獲得するまで1日約3時間勉強して1年かかる方もいます。
IELTS 6.0は5.5以下と比べて一気にレベルが上がるので対策方法も今までと同じでは獲得するのが難しくなることを理解していただけると幸いです。
【リスニング】速く複雑な内容を聞き取り、正確に答える力を養う
目標:長めの会話・講義から具体的な情報を把握し、細部まで理解する。
🌟 学習ステップ
- レベル別教材で実践力を鍛える
・初級:「IELTS Listening Actual Tests」「BBC Learning English」
・中級:「TED Talks」「The IELTS Podcast」 - ディクテーション(書き取り)練習
・1分間の音声を細部まで書き出す → 聞き取れなかった単語をチェック。
・週3回実施でリスニング精度を向上。 - シャドーイングで発話とリズムを強化
・1日15分、音声に合わせて発話し、リズム感を養う。
・ポイント:わからない単語も飛ばさずに口に出す。
✅ 週に1回は40分間のIELTS模試を解き、時間感覚に慣れる。
【リーディング】長文読解を時間内で処理する力をつける
目標:60分以内に3つのパッセージを読み、正確に答える。
🌟 学習ステップ
- スキミング(概要把握)+スキャニング(情報検索)
・練習:設問を先に読む → 重要な段落を特定 → 該当部分を精読。
・重点対策:True/False/Not Given、Matching、Summary Completion - アカデミックな語彙力を増強
・目標:IELTS 6.0には4,000語レベルが必要。
・教材:「IELTS Essential Words」「Academic Word List (AWL)」。
・方法:1日20語、7日ごとに復習。 - 言い換え(Paraphrasing)を練習
・IELTSでは設問と本文が同じ意味の異なる表現で書かれる。
・例:「decrease」→「decline, drop, fall」
✅ 週1回、IELTSリーディング模試を60分で解く。
【ライティング】論理的かつ正確に書く力を強化
目標:Task 1とTask 2で構成・語彙・文法を適切に使い、250語以上を論理的に書く。
🌟 学習ステップ
- ライティングテンプレートを使う
Task 1(図表説明):概要 → 主要な変化 → 比較 → まとめ
Task 2(エッセイ):主張 → 理由① → 理由② → 反論 → 結論 - 頻出トピックを網羅
Task 1:折れ線グラフ、棒グラフ、円グラフ、地図
Task 2:教育、環境、テクノロジー、社会問題 - 添削を活用
・Write & Improve(無料の自動添削ツール)でミスを確認。
・オンライン添削サービスを月1回利用。
✅ 毎週2本のエッセイを書く練習を継続し、時間(Task 1: 20分、Task 2: 40分)を意識する。
【スピーキング】流暢性と正確性を同時に向上
目標:自分の考えを論理的に説明し、2分間のスピーチをこなす。
🌟 学習ステップ
- スピーキング構造を覚える
・Part 1(自己紹介・日常話題):I think… / In my opinion…
・Part 2(2分スピーチ):Describe a time when… の型を練習
・Part 3(抽象的議論):In contrast… / From my experience… - セルフレコーディング
・毎日1つのトピックを録音し、発音・流暢性を確認。 - オンライン英会話
・おすすめ:「Cambly」「DMM英会話(IELTS専門コースあり)」
・週2回の実践練習で試験形式に慣れる。
✅ 1日10分のスピーキング練習を習慣化。
IELTSで3.5から6.0を獲得するためには、モチベーション維持と進捗管理も重要となります。
そのために目標を細分化したり、学習記録をつけて進捗を可視化していくことも重要です。
また毎月必ずIELTS模試を解き、自分がどのくらい成長しているのかを実感することも大事です。
5.まとめ
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
IELTS 3.5のスコアが出ていたとしても十分ハイスコアを目指せる可能性はあります。
地道なIELTS学習が必要となりますが、あきらめずに学習を継続していただくことで皆様の目標である海外留学であったり、海外就職、MBA留学といった夢を叶えられることを祈っています!
また、IELTS TRAINER PROでは3.5レベルの方も受講可能なスタートコースを提供しています。
スタートコースではIELTSの本格的な対策に入る前に英語の基礎を鍛えることができるコースです。
独学では対策をするのはとても難しいと言われているIELTSですので是非IELTS TRAINER PROへお越しください!