IELTSは大学入試の優遇につながる!優遇制度のある大学一覧
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IELTSは英語圏の大学に進学・留学、英語圏での就労の際に英語力の証明に利用されますが、取得したスコアにより国内の大学入試の際に、英語試験の免除や点数換算などの優遇制度を受けることもできます。
将来的に英語圏の大学・大学院への進学を考えている方だけでなく、海外でも通用する英語力を身に着けつつ入試を有利に進めたい方にも、IELTSの受験はおすすめです。
この記事では、IELTSの優遇制度がある国内の有名大学をスコア別に紹介する他、IELTSスコアが入学要件となる英語圏の大学についても解説します。
1.IELTSで得られる大学入試の優遇制度
IELTSの認知度が高まる中で、IELTSで一定のスコアを取得した学生に対して、大学入試を優遇する大学が増えています。優遇の例は、以下の通りです。
- 出願資格の獲得
- 総合得点への加算
- 学校推薦入試や同点の際の判定優遇
- 英語試験の免除
- 英語試験の点数に換算
IELTSを含めた英語能力試験で一定のスコアの取得を出願要件にしている大学や学部もあります。また、大学によっては総合得点への加点や、他の受験者と同点だった際に優遇されることもあり、スコアを持っていない人よりも有利な条件で受験が可能です。
IELTSで一定のスコアを取得していると、英語試験が免除になるケースもあります。英語試験が免除された場合は、英語の勉強時間を他の教科に回せるというメリットも生まれます。
ただし、IELTSスコアを採用している大学・大学院では、IELTSスコアが一定レベルに満たない場合、英語試験を受けたほうが高得点を得られることもある点に注意が必要です。
2.【スコア別】IELTSで優遇される有名大学一覧
ここでは、IELTSによる優遇制度を導入している大学を、スコア別に紹介します。大学や学部によって制度の詳細は異なるため、優遇の内容や条件もしっかりとチェックしておきましょう。
なお、記載している優遇制度は2023年10月時点のものであり、今後変更される可能性があります。
2-1.IELTSスコア4.0の場合
IELTSスコア4.0は、CEFRでB1レベルのスコアです。理解力、表現力には問題が頻繁に見られるものの、慣れた状況においては基本的能力を発揮できる英語レベルとされています。
【IELTSスコアOA4.0以上で優遇制度がある大学・学部例】
大学名 | 学部 | 制度 |
---|---|---|
明治大学 |
|
出願要件 |
|
スコアに応じて加算 | |
学習院大学 |
|
出願要件 |
國學院大學 |
|
スコアに応じて加算 |
中央大学 |
|
出願要件 |
法政大学 |
|
出願要件 |
東海大学 |
|
スコアに応じて加算 |
関西学院大学 |
|
出願要件 |
関西大学 |
|
出願要件 文学部のみスコアに応じて加算 |
明治大学や学習院大学、中央大学、法政大学、関西学院大学の一部の学部では、IELTSスコア4.0以上を出願要件と定めています。
スコアに応じて加点や得点換算する制度が採用されている場合、大学や学部によって加点・換算される点数が異なります。たとえば明治大学農学部では、IELTSスコア4.0は英語試験100点中の80点に換算されます。東海大学では、全学部の英語試験において100点中の75点に換算されます。
2-2.IELTSスコア4.5の場合
IELTSスコア4.5も、CEFRではB1レベルに相当します。不完全ではあるものの基礎的な英語を使う能力を持ち、ほとんどの状況でおおまかな意味を把握できるレベルです。
【IELTSスコア4.5以上で優遇制度がある大学・学部例】
大学名 | 学部 | 制度 |
---|---|---|
青山学院大学 |
|
出願要件 |
学習院大学 |
|
スコアに応じて加算 |
法政大学 |
|
出願要件 |
中央大学 |
|
出願要件 |
日本大学 |
|
スコアに応じて加算 |
青山学院大学の総合文化政策学部や法政大学・中央大学の一部の学部は、IELTSスコア4.5以上で出願が可能です。
学習院大学国際社会科学部のプラス試験では、IELTSスコア4.5は英語試験150点中110点に換算されます。日本大学の経済学部では、英語試験100点中の80点に換算されます。
2-3.IELTSスコア5.0の場合
IELTSスコア5.0は、CEFRでB1レベルに相当します。IELTSスコアのCEFRレベル換算では、4.0、4.5、5.0の3つのスコアがB1に相当しており、CEFRレベルはIELTSよりレベルの幅が広いことがわかります。IELTSスコア5.0・CEFR B1レベルは、自分の専門分野では基本的なコミュニケーションをとれ、筋の通った文章をつくれる程度のレベルです。
【スコア5.0以上で優遇制度がある大学・学部例】
大学名 | 学部 | 制度 |
---|---|---|
近畿大学 |
|
スコアに応じて加算 |
青山学院大学 |
|
出願要件 |
法政大学 |
|
出願要件 |
立教大学 |
|
スコアに応じて加算 |
青山学院大学の国際政治経済学部や法政大学の一部の学部では、IELTSスコア5.0以上が出願要件に定められています。近畿大学の国際学部では、IELTSスコア5.0が英語試験100点中の70点に換算されます。
立教大学の一般入試では、提出した英語資格のスコアと大学入学共通テスト「外国語(『英語』)」の得点に統計的処理を行い、独自の方法で点数化します。出願締切後に全受験生のスコアを用いて統計的処理を行うため、事前に換算得点を把握することはできません。ただし、立教大学の大学入学共通テスト利用入試では、IELTSスコア5.0は英語試験の得点率85%相当に換算されます。
2-4.IELTSスコア5.5の場合
IELTSスコア5.5は、CEFRでB2レベルと同等のスコアです。B2レベルは、自分の専門分野の技術的な議論も含めて、複雑な文章の主要な内容を理解でき、ネイティブとも自然にやり取りができる語学力です。
【スコア5.5以上で優遇制度がある大学・学部例】
大学名 | 学部 | 制度 |
---|---|---|
早稲田大学 |
|
出願要件 |
法政大学 |
|
出願要件 |
愛知大学 |
|
満点換算 |
同志社女子大学 |
|
スコアに応じて加算 |
立命館大学 |
|
満点換算 |
京都産業大学 |
|
満点換算 |
関西医科大学 |
|
試験免除 |
早稲田大学や法政大学の一部の学部では、IELTSスコア5.5以上を取得していることが出願要件です。IELTSスコア5.5以上になると、満点換算や試験免除の優遇を受けられる大学が増えます。
愛知大学や立命館大学では、IELTSスコアが5.5であれば英語試験満点換算という非常に有利な条件で受験可能です。また同志社女子大学の学芸学部国際教養学科では、試験の種類により英語試験200点中の180点または100点中の90点に換算されます。
2-5.IELTSスコア6.0以上の場合
IELTSスコア6.0も、実用英語技能検定でいうと準1級〜1級、CEFRでB2に相当します。IELTSスコア6.0は大学上級程度であることから、世界での活躍が期待できるレベルです。
スコア7.0以上を取得している人は、一般的に難関大学と言われる学校でも非常に有利な条件で受験可能です。
【スコア6.0以上で試験の点数が加算される大学・学部例】
大学名 | 学部 | 加算内容 |
---|---|---|
明治大学 |
|
スコア6.0で30点中20点加算 スコア6.5で30点中30点加算 |
【スコア7.0以上で試験の点数が加算される大学・学部例】
大学名 | 学部 | 加算内容 |
---|---|---|
國學院大學 |
|
スコア7.0で200点中200点加算 |
|
スコア7.0で100点中100点加算 | |
国士舘大学 |
|
スコア7.0で16点中12点加算 スコア8.5で16点中16点加算 |
上智大学 |
|
スコア7.0で30点中30点加算 |
早稲田大学 |
|
スコア7.0で20点中20点加算 |
上表の通り、IELTSスコア6.0以上は、出願要件ではなく英語試験への加算要件になるケースが多いです。またスコア6.0以上を持っていれば、国内大学にとどまらず英語圏の大学への留学も視野に入れられます。
3.海外大学・大学院に入学・留学・進学する場合に必要なIELTSスコア
IELTSは、英語圏の大学・大学院に入学・留学・進学するための出願要件にも用いられる英語試験です。ここからは英語圏の国別に、主要な大学に入るために必要なIELTSスコアを解説します。
3-1.アメリカの大学入学に必要なIELTSスコア
アメリカの大学、特にトップ校への入学を希望する場合は、IELTSスコア7.0以上が求められます。
【アメリカの大学入学に必要なIELTSスコアの例】
大学名 | 大学入学の要件となるスコア | 大学院入学の要件となるスコア |
---|---|---|
マサチューセッツ工科大学 | 7.0 | 7.0 |
カリフォルニア工科大学 | 7.0 | 7.0 |
ハーバード大学 | 7.0 | 7.0 |
イェール大学 | 7.0 | 7.0 |
コロンビア大学 | 7.0 | 7.0 |
ペンシルベニア大学 | 7.0 | 7.0 |
ウィスコンシン大学 | 6.5 | 7.0 |
ミネソタ大学 | 6.5 | 6.5 |
フロリダ大学 | 6.0 | 6.5 |
上表の通り、アイビーリーグと呼ばれる名門私立大学であるハーバード大学やイェール大学、ペンシルベニア大学などは、スコア7.0以上を入学要件に定めています。
IELTSスコア7.0は、CEFRのC1レベルに相当します。CEFRのC1レベルとは、状況によっては誤解が生じる可能性があるものの、流暢かつ自然に英語を使いこなす能力を有し、複雑な言葉遣いや詳細な論理を理解できるレベルです。
ただし、有名大学の中には、IELTSスコア6.0や6.5で入学できる大学もあります。たとえば、ウィスコンシン大学やミネソタ大学はスコア6.5、フロリダ大学はスコア6.0が入学要件です。
3-2.イギリスの大学入学に必要なIELTSスコア
オックスフォード大学やケンブリッジ大学などのトップ校への入学を希望する場合は、IELTSスコア7.0以上が必要です。オックスフォード大学の大学院では、スコア7.5以上が要件と定められています。
【イギリスの大学入学に必要なIELTSスコアの例】
大学名 | 大学入学の要件となるスコア | 大学院入学の要件となるスコア |
---|---|---|
オックスフォード大学 | 7.0 | 7.5 |
ケンブリッジ大学 | 7.0 | 7.0 |
インペリアル・カレッジ・ロンドン | 7.0 | 7.0 |
ロンドン大学連合 | 6.5 | 6.5 |
エディンバラ大学 | 6.5 | 6.5 |
マンチェスター大学 | 6.0 | 6.5 |
アメリカと同様で、イギリスにもIELTSスコア6.0や6.5で入学できる学校が複数あります。たとえば、エディンバラ大学やマンチェスター大学など有名な大学は、6.5以下のスコアでも入学できます。
また、イギリスではオックスフォードおよびケンブリッジ大学を除き、約1年間の大学進学準備期間であるファウンデーション・コースを設けている大学が多いです。
大学に併設されたファウンデーション・コースは、IELTSスコア4.5〜5.5前後の英語力で入学可能です。ファウンデーション・コースを規定の成績で修了すれば、留学開始時点で学部入学に必要なスコアを取得できていない人でも、学部進学できる可能性があります。
3-3.カナダの大学入学に必要なIELTSスコア
カナダの大学は、アメリカやイギリスと比べるとスコアのボーダーラインが低い傾向があります。
【カナダの大学入学に必要なIELTSスコアの例】
大学名 | 大学入学の要件となるスコア | 大学院入学の要件となるスコア |
---|---|---|
トロント大学 | 6.5 | 7.0 |
ブリティッシュ・コロンビア大学 | 6.5 | 6.5 |
マギル大学 | 6.5 | 6.5 |
マクマスター大学 | 6.5 | 6.5 |
カナダでは、トップ校であるトロント大学やブリティッシュ・コロンビア大学でも、学部であればIELTSスコア6.5以上の取得で入学できます。その他の大学でも、スコア6.5以上を要件として定めていることが多いです。
また、大学によっては学部入学前の英語コースや進学準備コースを用意しており、英語力が不足している人でもコース修了後に学部進学できる可能性があります。
3-4.オーストラリアの大学入学に必要なIELTSスコア
オーストラリアもカナダと同様で、学部入学できる英語力のボーダーラインはIELTSスコア6.5以上となります。
【オーストラリアの大学入学に必要なIELTSスコアの例】
大学名 | 大学入学の要件となるスコア | 大学院入学の要件となるスコア |
---|---|---|
メルボルン大学 | 7.0 | 7.0 |
オーストラリア国立大学 | 6.5 | 7.0 |
シドニー大学 | 6.5 | 6.5 |
クイーンズランド大学 | 6.5 | 6.5 |
メルボルン大学の学部入学にはIELTSスコア7.0以上が求められますが、それ以外の学校では上位校でもスコア6.5以上があれば入学要件を満たせます。
また、オーストラリアの大学の多くには、イギリスと同じく学部入学前のファウンデーション・コースが設けられています。他の成績は優良なものの、留学時点で必要な英語レベルが不足している方の場合、ファウンデーション・コースを修了すれば学部に進学できます。
4.IELTSスコアを大学入試に利用するときの注意点
IELTSスコアを大学入試に利用する際は、いくつか押さえておくべき注意点があります。ここからは、IELTSスコアを正しく大学入試に生かすためのポイントを3つ見ていきましょう。
4-1.アカデミック・モジュールを選択する
IELTSには、アカデミック・モジュールとジェネラル・トレーニング・モジュールの2種類の試験があります。大学入試のためにIELTS受験をする際は、「アカデミック・モジュール」を選択してください。
アカデミック・モジュールは、英語圏の大学や大学院へ留学する際に英語力の証明となるスコアで、主に学術的な会話や場面を想定した課題や設問が出題されます。一方のジェネラル・トレーニング・モジュールは、主に海外移住や海外就職の際に英語力の証明として用いられ、日常生活に関する内容が多く出題されるのが特徴です。
国内・国外を問わず、大学・大学院進学で利用されるのは基本的にアカデミック・モジュールのスコアです。IELTSテストを受験する際は、事前に志望大学の入試要項を確認しておきましょう。
4-2.オーバーオール・バンドスコアだけでなくバンドスコアにも注意する
IELTSスコアを大学受験に利用する際は、「バンドスコア」にも注意を払ってください。
バンドスコアは、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングという4技能それぞれのスコアです。一方、オーバーオール・バンドスコアは4技能のバンドスコアを平均して求める総合スコアを指します。
一般的に、大学に提出するスコアは、IELTSのオーバーオール・バンドスコアを利用します。しかし中には、バンドスコアにボーダーラインを設定している大学もあるため注意してください。オーバーオール・バンドスコアでは要件を満たしていても、一部のバンドスコアが要件となるスコアを満たしていなければ、IELTSスコアによる優遇を受けられないことがあります。
4-3.出願期限から逆算して計画的にIELTS対策を始める
IELTSの試験対策は、大学の出願期限から逆算して計画的に行いましょう。早期からIELTS対策を始めることで、余裕を持って対策ができます。
可能であれば、出願期限の1年以上前から準備を始めるのが理想です。早めに初受験をして自分のスコアや本試験について把握した上で、スコアアップのための英語学習や英会話レッスンを重ねましょう。
一般的に、英語学習初心者の場合、IELTSスコア6.0を取得するには少なくとも500~600時間(普段英語に接する機会の少ない日本人ではこの2~3倍の時間)の勉強時間が必要です。また、IELTSのスコアを0.5上げるには200〜300時間(約3〜6か月程度)かかるとされています。
IELTSは試験回数が多く、必要な点数に到達するまで複数回受験が可能です。受験料に余裕があれば2か月に1回程度の頻度で受験しながら、少なくともスコア取得期限前に2回は受験し、目標スコアを目指しましょう。出願期限に余裕があれば、万が一目標スコアを取れなかった場合でも、期限前に再度受験するチャンスが生まれます。
なお、IELTSのスコアが自宅に届くまでには、試験日から1〜2週間程度かかります。遅くとも出願期限の1〜2か月前には目標スコアを満たした結果が届くよう、受験予定を組みましょう。
まとめ
IELTSアカデミック・モジュールのスコアは国内外を問わず大学入試で出願要件や優遇につながります。国内では明治大学、早稲田大学、立命館大学、上智大学などの有名大学が優遇制度を採用しているため、IELTSスコアを伸ばすことで有名大学の入試を有利に進めることができます。
また、IELTSアカデミック・モジュールは英語圏の大学へ入学する際にも出願要件となります。たとえば、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学の世界的に有名な大学は、入学要件としてIELTSスコア7.0以上を求めています。
IELTSスコアを伸ばすためには、早期から計画的に英語を学ぶことが大切です。受験の1年以上前から準備し、スコアアップに向けて英語学習を進めましょう。